このサイトの目的

正確に人体を描く

このウェブサイトの主要な目的の一つは「正確に人体が描けるようになること」です。

 

ここで間違わないでほしいのですが、正確に描くのが目的であって、上手く描くこととは少し違います。
美術に限らず芸術というのはいろいろな表現のしかたがあって、必ずしも正確にそのまま写し取ることがうまいとは限りません。
あえて長さを実物よりも変えたり、大げさにゆがめたり、現実には存在しない色を使って表現の幅をふやすことが可能です。
そういった絵は、たとえばpixiv(ピクシブ)のようなイラストサイトを見てもよくわかります。

 

しかしながら、多くの美術の初心者は、まずは複雑な表現を試みる前に「正確に描く」という非常に基本的なところでつまずきます。
正確に描画するのが必ずしも最重要項目ではないのですが、多くの人は本能的にこの欲求を持っており、私達は多くの場合、正確に描画しようとしてそれがうまくできないと、不愉快になります。

 

正確さ以上の高度な表現はずっと後で学ぶことにして、まずはとにかく「正確に描画する」ことを目標にしましょう。
すでに正確に描画するスキルを持っている人は、このウェブサイトの前半は読み飛ばしてもいいでしょう。

 

 

人物画はごまかせないジャンルの一つ

風景画や抽象画など、美術にはさまざまなジャンルがありますが、ここではまず「人物画」を目指します。

 

理由の一つとして、人物画は非常に正確さが要求される分野であり、なかなかごまかしのききにくい分野でもあります。
風景画ですと、たとえば樹木や草などは自然物なので、割と自然界にはでたらめに配置されており、数ミリ単位での「正確さ」はあまり要求されません。
長さや配置、色などを少々「間違えて(参考にした風景と長さが違って)」も、おかしな絵とは見えません。

 

これに対し、人間の体というのはかなり精密に出来上がった物体であり、たとえば手の長さを紙面上で数ミリ長く描きすぎると、たちまち不自然な絵に見えてしまい、私たちは大変不快な思いをします。
特に顔面パーツに関しては私達は眼が肥えており、目を描く位置を数ミリ間違えるとおかしな絵になってしまいます。
このように寸分の間違いが許されないようなところにこそ、技術が必要だと思われます。

 

風景画などについてはこのサイトではあまり触れません。
ただし遠近法については徹底的に解説します。遠近法(パース)に関しては、自然物では間違ってもあまり不自然には見えませんが、建築物でこれを間違うとやはり不自然でおかしな絵になってしまいます。
建築物などをたくさん描画するときには遠近法のスキルについてはその章をお読みになるといいでしょう。