必要なスキルと学ぶ順番

必要なスキルと学ぶ順番

絵を描く技術を学ぶといっても、いきなり何も考えずにとにかく描く、というやり方では効率が悪すぎます。

 

私たちに数学のスキルを身につけさせるため、学校の先生たちは入念に授業内容を計画します。授業が終わると反省会をしたりして、さらに授業内容に磨きをかけていきます。そうしないと効率が悪く、時間内に生徒たちにスキルを身につけさせることができないからです。
美術においても同様です。何も考えずに闇雲に練習する、ということは絶対にやめてください。内容をよく理解した上で、自分が上達するように練習計画を立てましょう。

 

まず、学ぶべき内容についてその概略と、なぜそれを学ぶ必要があるのかを説明していきます。

 

またこれから述べる手順は、それ自体はすべて重要なものですが、必ずしもこの通りの順番にやる必要はありません。
この順番は、初心者が学ぶときに理解しやすいだろうと思って設定した順番です。順番は違っても、全部やれば最終的に頭に入る内容は同じです。
もし理解しにくい場所があれば、飛ばしてわかるところからやりましょう。

 

 

0.基礎スキル

本題に入る前に、最低限身につけておかなければならない基本的なスキルを習得します。これらはすでに身についていると思われる人は、練習する必要はありません。
そのスキルとは、一つは「等分の感覚」もう一つは「最低限の模写スキル」です。

 

等分の感覚とは、一つの線を2等分したり3等分したりする練習です。
物体の形状を正確に描くためには、線の長さの把握が重要になります。多くの線や点の位置は、ほかの線と割合的に決まっているため、「この線の中のこの点は、全体の何分の何か」というのが把握できると非常に都合がいいのです。

 

もう一つの「最低限の模写スキル」についてですが、「模写」というのは目の前にある物体をそのまま正確に紙に写し取ることです。通常、学校でやっている美術の時間は、やっていることは模写そのものです。
ただしあまり正確に写し取る能力は、ここでは必要ありません。だいたい同じ形が描ける、というくらいでも十分です。
このウェブサイトでは「何も見ずに人間が描けるようになる」ことを目的にしていますが、「目の前にいる人間の形を写し取る」こととは目的が異なり、当然に必要とされる能力も異なります。
模写の能力は、ゼロでも困るのですが、あまり必要ありません。正確に写し取れないからといって、あまりこだわり過ぎないようにしましょう。模写のやりこみすぎは時間の無駄になります。

 

 

1.BOX理論

このウェブサイトでもっとも特徴的で、最も重視しているのがBOX理論(ぼっくすりろん)です。
「BOX理論」とは私が勝手に命名した名前で、ほかの専門家の人たちも同じようなことをしているかもしれません。特に真新しい特別な発明とか、そういうものではありません。

 

よく絵描きの人たちが「アタリをとって描く」というようなことをいいます。アタリというのは、およその形(概形)を最初に描き、次第に詳細部分について描いていくことで、全体の正確さを失わないようにする方法です。
BOX理論ではこれをさらに洗練し、さらに定規などを使い、非常に正確に概形を作りながら描いていきます。

 

正確に描くためには、人体の各部の「長さ」を把握していることが重要です。何も見ずに人体を描画するのだから、対象の物体の長さを把握せずに正確に描けるわけがありません。
人体各部の長さに関しては、実物の人間の写真などを使って定規で計測してみたり、あるいは身体計測の統計を使ったりします。

 

ただしここでいう長さというのは、絶対的な長さだけではなく、回転したときの見た目の長さも含みます。
たとえば1本の棒を、奥行き方向へ回転させた場合、見た目の長さは回転させる前よりも減ります。この長さがわからないと正確に描画することができません。

 

そして人間の大半の運動は、関節を回転することで行われます。なので関節の位置や骨の長さを把握している必要があります。

 

これら人体各部の長さと関節の位置や回転などを、BOX理論という方法で正確に出していきます。
ただしBOX理論では、骨の長さは正確に出しますが、全体の太さや表面の形状までは出しません。

 

 

2.美術解剖学

解剖学は医学の世界だけで使われると思われがちですが、美術の世界でも詳細な形状を把握するために使います。専門用語で「美術解剖学」と呼びます。
ただし美術の世界では医学とは目的が異なりますので、内容もかなり異なってきます。
また医学解剖ほど難しくはありません。内蔵の機能などはあまり知る必要はなく、基本的には形状や動きについて知っていれば十分です。

 

これはBOX理論を学んだ次に勉強します。解剖学は詳細な形状の把握には役に立ちますが、全体の形状を正確に取ることにはあまり役に立ちません。
全体の形をBOX理論で把握し、詳細の形を解剖学を参考にして描いていく、という手順になります。

 

 

3.経験的観察

BOX理論と美術解剖学を勉強するだけでも、かなり腕は上がっていることでしょう。しかしその後、すぐさま完全な人体が描ける、というわけにはいきません。
これら理論的な手法では説明できない部分も多く残されています。

 

たとえば筋肉の付き方を見ても、男性と女性では異なることは言葉で説明できますが、どれくらい筋肉が付いているのか、そしてそれをどれくらい紙に再現できるかどうかというのは、どうしてもある程度実物を見てみないとわかりません。
長々と説明するより、実際に練習してみたり、人間のモデルを見ながら描いたほうがずっと効率がいいことがあります。

 

実際に描いてみる、あるいは実物を見ながら観察することで、多くの知識を得ることができます。
これらの知識を得ることは、基礎的な勉強が前提になります。たとえば関節の仕組みを理解していないと、実物の人間の運動を観察しても、うまく再現できなかったりします。

お知らせ

2017/7/29(土)「関西創作系オフ会」を開催いたします。ご参加お待ちしています。

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