基礎スキル

基礎スキル

このウェブサイトでは「デッサン力があまりなくても正確に描く」方法を追求していますが、あまりデッサン力がなさすぎても難しいものです。
今から述べる基礎スキルというのは、まず最低限これらを身につけておかないと、読み進めるのは難しいという内容です。

 

非常に基礎的な内容なので、あまり難しくはないでしょう。
またすでに身についており、いちいち読む必要がないと思ったらこの章は飛ばし、次の章へ進みましょう。

 

基礎スキルの内容は2つあり、一つは「等分の感覚」でもう一つは「最低限の模写」です。
なお、「最低限の模写」は「等分の感覚」でやった内容を使いますので、まずは等分の感覚の章から読み進めたほうがいいでしょう。

 

 

測定と描画

実際に何か実際の物体を写して描く(模写する)場合には二つの過程があります。

 

一つは目的の対象物を正確に測定すること。
もう一つは測定した値を紙に正確に描き出すこと。

 

この二つは別々のスキルで、片方だけがうまくいっても正確に描くことはできません。

 

対象物の測定が間違っていれば、そのまま描いても正確な形にはなりません。
たとえば腕の長さを誤って記憶していた場合、どんなに正確に紙に描こうとしたところで本来の長さにはなりません。

 

また測定が正確でも、紙に描くスキルが泣ければうまく描けません。
現実の腕の長さを正確に知っていたとしても、紙面上での長さを割り出す計算方法を知らなければ、おかしな長さで描画されることでしょう。

 

この2つのスキルを身につけるため、まずは「等分の感覚」の練習をやってみましょう。
等分の感覚とは、一つの直線をいくつかに等分することです。

 

このスキルを身につけて、ある部分が別の部分のどれだけの割合かを「測定」し、また定規を使ってある線の何割の部分に別の線の交差点があるかを「描画」します。
ある線が別の線の何倍の長さか、あるいは何割の長さかを知ることは、とても重要です。

 

 

紙の大きさと定規の誤差

練習ではあまり気を使う必要はないのですが、特に定規を使って概形を描こうとした場合は、大きな紙を使ったほうが正確に描くことができます。
なぜかといいますと、ふつうの定規ではミリ単位までしか測定できません。
なので、もしミリ以下の誤差が出たらまずいような絵を描く場合、定規を使っても正確に描画しきれないかもしれません。

 

定規で線を引く場合

 

「どんな長さの線を引いても同じくらい誤差が出ます」

 

ここが重要です。

 

たとえば非常に大きな紙で26.0センチの線を描くとしましょう。
これを実際に定規で引いてみると、誤差が出たとしてもたぶん25.9〜26.1センチくらいの線になるのではないでしょうか。

 

ところが絵の同じ部分の線を引くとしても、仮にこの紙の10分の1の大きさの紙に描くとしたら、その線の長さは2.6センチになってしまいます。
定規で描いた場合、やはり前後1ミリ程度の誤差が出るとすると、線の長さは2.5〜2.7センチあたりになるでしょうか。

 

大きな紙では26センチの中で1ミリの誤差が出ましたが、小さな紙では2.6センチの中で1ミリの誤差が出ました。
形として見ると、明らかに小さい紙のほうが崩れて見えるのです。

 

このような理由があるので、定規で測定しながら絵を描く場合、できるだけ紙が大きいほうが正確に形を取れる、ということを覚えておきましょう。

 

ただしあまりにも大きな紙を使うと、今度は鉛筆を動かすのが大変かもしれません。
またスキャナなどでパソコンに映像として読み込ませる場合、紙が大きすぎるとスキャナに入らなくなってしまうので、そこは程度をわきまえた上で、紙の大きさを決めましょう。

 

 

位置取りするときの鉛筆は「芯の細いもの」で「バツ印」

細かいことですが、位置をチェックするときは、バツ印を使うと間違いがなくてすみます。
たとえば図のように、斜め方向にチェックを入れるとどう見えるでしょうか。

 

画像:チェック点に左斜めの線
チェック点に左斜めの線

 

このような印のつけ方だと、特に鉛筆の芯が太い場合、肝心の2直線の交点がどこなのか、はっきりしません。
正確な一点がわかるように、バツ印にしておくと交点がはっきりして見やすいです。

 

また鉛筆の芯が太いと交点がはっきりしにくいので、細い鉛筆を使ったほうが正確です。