等分の感覚

直線を2等分する

等分の感覚とは、一つの線を正確に等分することです。
簡単なものからやってみましょう。まず1本の線を引きます。

 

画像:1本の直線
1本の直線

 

そしてこれをちょうど2等分します。

 

画像:1本の直線を2等分する場所をチェック
1本の直線を2等分する場所をチェック
分割した点で、ちょうど2等分になっているでしょうか。定規で測ってみましょう。

 

 

なぜ等分なのか

なぜこのような練習をするのでしょうか。

 

正確に形状を描画するためには、線の長さを正確に描画する必要があります。
ところでこの「長さ」というのは、相対的なものです。相対的に正確であればいいのです。

 

たとえばこのような線があったとします。

 

画像:T字の線
T字の線
これを正確に写し取ろうとした場合、まったく同じ紙に同じ大きさで描く必要はありません。
大きさは違っても、形が同じであればいいのです。形が同じであるとは、この画像の場合、縦の線と横の線の「長さの割合」が同じであればいいということになります。

 

画像:T字の線をもう一つ、大きさの違うもの
T字の線をもう一つ、大きさの違うもの
このように「割合」というものの正確さを考える場合、片方の線がもう片方の線の何倍か、ということが正確さの指標となります。
横の線が縦の線の何倍くらいでしょうか。半分でしょうか。3分の2くらいでしょうか。4分の1くらいでしょうか。

 

 

等分はわかりやすい感覚

1本の線を2等分するというのはかなりわかりやすい指標です。
なぜなら、分割した後の2本の線が「同じ長さかどうか」だけを見ればいいからです。

 

これが「割合」になるととたんに難しくなります。
たとえば「この1本の直線を6対4に分割せよ」となると、正確に分割するのは非常に難しくなります。
6と4の長さがどれくらいかを見るのは、感覚的にわかりにくいものです。

 

もしかすると6対4や7対3などで分割するというのも、訓練すればできるようになるかもしれません。
しかしこれら分割というのは、可能な限り容易に行うことができ、かつ正確であるべきです。不正確になりそうなやり方は避けるべきです。

 

 

使う場所

等分の間隔を使う場所は非常に多いです。

 

たとえば頭部を「描画」するとき、最初に頭部全体の概形を描きます。
次に頭部の縦の長さ(頭頂から顎までの長さ)の半分を眉毛の場所とし、さらに顎と眉毛の半分の場所が口の位置となります。

 

描画だけでなく、たとえば何かの人物画を見たとき、ある部分が別の部分の何倍か、あるいは何割くらいか「測定」することは非常に重要です。その値を元に描画・再現することになるでしょう。

 

美術では通常、大きな部分を最初に描き、次第に詳細部分へ移っていきます。
最初から詳細部分を描き込んでいくと、全体の大きさを間違ってしまいがちで、詳細は正確に描けているのに全体の大きさがおかしい、ということになりがちです。

 

このような「最初は大きく描いて、次第に小さい部分を描いていく」という手順の都合により、長い線を分割するという作業が多く発生するのです。

 

比率を考える場合、等分はよく出てきます。正確に分割できるようにしておいてください。