全体の基準点・基準線を描く

模写をするとき、いきなり本線を描き始めると、必ずある程度ずれてしまいます。
それよりも最初に基準となる位置をチェックしておき、画面全体を見て互いの位置関係が正しいかどうかチェックしたほうがいいでしょう。

 

画像:模写用画像1。模写する対象の風景。基準点にチェックを入れたもの。
模写用画像1。模写する対象の風景。基準点にチェックを入れたもの。
このように基準にしやすい場所を最初にチェックしておきます。
模写するときにまずはじめにすべきことは、全体の形状を把握し、位置を正確に取ることです。

 

このチェックをすばやく正確にやるために、ほかの情報を無駄に詰め込む必要はありません。
線ではなく、点でのみチェックすると効率がいいです。

 

 

基準にしやすい場所とは?

チェックすべき「基準にしやすい場所」とは、たとえば線と線の交差点とか、線の「角」とか「極大・極小点」です。
何も特徴のない線の真ん中をチェックしても、後で描くときに参考になりません。
線は特に、「端」や「交点」で位置や形状が決まるので、何か特徴のある場所をチェックしないと意味がないからです。

 

 

チェックすべき点

すべての線の端や交差点をチェックしていると時間がかかりすぎますし、画面がごちゃごちゃしてわけがわからなくなります。
それで重要なところだけチェックしていくわけですが、どこをチェックすべきかというと、全体の形状を把握するために都合のいい場所だけチェックしていきます。

 

したがって、あまり細かいところをたくさん調べても意味がありません。
概形を調べるのが目的なので、部分の最も外側の線を調べましょう。

 

 

基準線を描く

点だけでなく、線で形状を把握したほうが都合がいいこともよくあります。
たとえば図のように縦と横の線を引き、画面全体からどのくらいの位置にあるかを見ると、参考としてわかりやすくなります。

 

画像:模写用画像1。基準線を入れたもの。
模写用画像1。基準線を入れたもの。

チェックした位置を検査する

チェックした位置が正しいかどうかを検査します。ここで先ほど練習した、等分や倍数の感覚が生きてきます。
たとえば上方の点Aは、画面全体の画面全体の何パーセントでしょうか。

 

点と点を結ぶと線になります。これらの線の長さをそれぞれ比較します。

 

検査するときの注意ですが、倍数の感覚の章でもやったとおり、長さが大きく異なる2つの線を直感で比較するのは難しいことです。
2センチと3センチの長さを比較するのは容易ですが、1ミリと10センチの線を比較して「一方はもう一方の何倍か」を知るのは、定規を使わないとほぼ不可能です。

 

検査するときは、あまり長さがかけ離れすぎないように気をつけましょう。
またチェックすべき点も、ある程度比較しやすい長さになるように選びます。

 

長さの比較で自信がなければ、遠慮なく定規を使いましょう。

 

 

画面全体からの割合

最初は概形をチェックしていくので、まずはチェックした点が、画面全体からしてどれくらいの割合にあるかを見ます。

 

これらの点や線が画面全体のどの割合にあるかを調べて、正しくなければ正しくなるまで修正します。
この時点で間違ってしまうと、後でさらに細かいところを描きこんでも、全体が間違っているのだからいくら詳細をがんばってもやはり間違ってしまいます。
全体の形を正確に描くことは非常に重要なことなので、間違えないようにしてください。後で間違ったことがわかっても取り返しが付きません。
自分の直感に自信がなかったら定規などを使い、あるいは環境が許せば写真を撮ったりしながら、正確な基準点、基準線を描いていきます。