胴体(胸部・腹部・腰部)

胴体のBOX

胴体は3つの部分に分けられ、上から胸部、腹部、腰部にわけられます。
なぜこのように分けるかというと、関節点の都合です。この3つの箱が、関節によって曲がると考えるとわかりやすいです。

 

BOXとその長さについて見ていきましょう。

 

画像:胴体の3つのBOXと胴体の輪郭。正面図と側面図。
胴体の3つのBOXと胴体の輪郭。正面図と側面図。
胴体の3つのBOXと胴体の輪郭。正面図と側面図。
BOXの長さですが、3つとも横の長さは4.4モジュール(26.4センチ)、奥行きは3.5モジュールです(21センチ)です。
縦の長さは、胸部は4モジュール(24センチ)、腹部が2モジュール(12センチ)、腰部が3.5モジュール(21センチ)です。

 

そしてこれらのBOXを、輪郭描画のためにいくつかに分割しておきましょう。
胸部BOXを、縦に4分割、横には4分割、奥行きへも4分割しておきます。

 

画像:胸部BOXを横と奥行きへそれぞれ4分割
胸部BOXを横と奥行きへそれぞれ4分割
胸部BOXを横と奥行きへそれぞれ4分割
さらに腹部は2分割し、腰部は3分割します。腰部の縦の長さは3.5モジュールなので、1モジュールでの分割ではありません。とりあえず目で3分割します。

 

画像:胴体3つのBOXを縦に分割
胴体3つのBOXを縦に分割
胴体3つのBOXを縦に分割

 

輪郭線の描き方

体を描くときはたいてい頭部、首、胴体の順で描きますので、まずは胴体と首のつながりの部分から描きましょう。

 

胸部の上面にはちょうど鎖骨や肩甲骨という骨の上部があるところで、これらの骨は表面に形状として現れているので、この輪郭を先に描きましょう。
胸部の上面をちょうど一蹴する形になり、以下のような形になります。

 

画像:胸部上面に鎖骨と肩甲骨の輪郭線。正面図と側面図と斜め上図
胸部上面に鎖骨と肩甲骨の輪郭線。正面図と側面図と斜め上図
胸部上面に鎖骨と肩甲骨の輪郭線。正面図と側面図と斜め上図
胸部上面に鎖骨と肩甲骨の輪郭線。正面図と側面図と斜め上図
この1周する線は首の付け根を通ります。
左右については、ともに2モジュール、つまり上面端の中央になります。

 

次にこの1周線に直交するように、体の上部から下部への輪郭を描いていきましょう。

 

まず体の中央を通る線です。これは下図のようになります。
胸部上面の点から、腹部と腰部の接触点の最前面の点へ線を引きます。

 

画像:体の前の中央線、鎖骨中央からへその下あたりまで
体の前の中央線、鎖骨中央からへその下あたりまで
この線は一直線ではなく、やや外側へ膨らんだ弓なりの形をしています。
そのままちょうど股間の中心まで、円状に線を引いてください。このような線になります。

 

画像:体の前の中央線、へそから股間の中心まで
体の前の中央線、へそから股間の中心まで
次に背中で同様の線を引きます。
首の後ろの中央から、最初は少し膨らみます。そして腹部の中央で最もへこみます。

 

画像:背面の線、首の下から腹部まで
背面の線、首の下から腹部まで
そのまままっすぐ下へ線を引き、滑らかに股間の中心まで円を描きます。

 

画像:背面の中心線、股間中心まで
背面の中心線、股間中心まで
これで体の前と後ろの線は描けました。次は横のラインを描いて行きましょう。これは左右対称なので、片方描ければもう片方も描けます。
まず胸部の側面、縦の長さを3分割してあると思いますが、これの上3分の1は腕の付け根になります。したがってこの中心点、つまり胸部縦の長さの6分の1の点が腕の関節点になります。
なので上3分の1の点から下へ向かって線を引きはじめます。

 

画像:胸部側面の腕の付け根と腕関節点、腕の下から線を引く
胸部側面の腕の付け根と腕関節点、腕の下から線を引く
このわきの下の点から、ややふくらみ気味に腹部の中央まで線を引きます。

 

画像:わきの下から腹部中央まで
わきの下から腹部中央まで
この腹部の中央が最もへこんでいる部分です。

 

ここから下へ、膨らみながら股間の真横まで線を引きます。
最も膨らんでいる部分は腰部の下から3分の1の点です。どれくらい膨らんでいるかというと、腰部のBOXの全横幅と同じ4.4モジュール(26.4センチ)です。画像でいえばこうなります。

 

画像:股間の真横まで線を引く。成人女性の場合。
股間の真横まで線を引く。成人女性の場合。
ただしこの形は成人女性の場合です。男女では特に骨盤の大きさが明確に異なるので、男性の場合、あるいは第二次性徴前の子供の場合はもっと狭くなります。

 

次に断面の輪郭を描いていきます。胸部の下面と腹部の下面を輪切りにしたような断面の輪郭を描きます。

 

画像:胸部下面、腹部下面の断面の輪郭
胸部下面、腹部下面の断面の輪郭
これでかなり形状が把握できるようになってきました。

 

 

前面の細かい起伏

さらにもう少しだけ、特徴的な起伏のある部分だけ描きこんでしまいましょう。

 

まず胸部ですが、成人女性の場合は乳房が膨らんでいますので、これを描きこみます。
乳首は胸部の下から2分の1の高さにあります。きれいな形の乳房を描くのはちょっと研究が必要ですが、今はだいたいでいいので球形で描いてみましょう。

 

画像:乳房を描きこみ
乳房を描きこみ
股間の辺りも描きこみましょう。このあたりはやや複雑な形状をしています。
まず股間は腰部BOXの下面です。ここから左右の斜め上に、脚と胴体の境目を描きます。下図のようになります。

 

画像:前の股間付近のライン
前の股間付近のライン
股間の前面は恥骨という骨があるので、一瞬膨らみます。詳細については後述の美術解剖学のほうで説明します。

 

最後にへそを描きましょう。これは腹部の中央のやや下にあります。

 

画像:へそ
へそ

 

背面の起伏

以上の画像では、背面がどうなっているのかわかりません。背面の形状も描いて見ましょう。
輪郭の描き方は同じですが、目立った起伏としては、肩甲骨の骨の出っ張りと、お尻のふくらみがあります。

 

胸部の背中には肩甲骨という大きな骨が左右対称にあります。これは背中に出っ張って見えます。
最も出っ張っている部分は、胸部の上から4分の1〜2分の1の高さで、左右のちょうど中央あたりにあります。画像で見てみましょう。

 

画像:肩甲骨の描きこみ
肩甲骨の描きこみ
BOXの中心から肩甲骨のふくらみまでは10センチ程度(1.7モジュール程度)あります。
背中の中心(背骨のライン)はこれよりもう少し内側にへこんでいます。

 

次にお尻のふくらみです。最も膨らむ部分は、腰部の下から3分の1くらいの高さです。奥行きは4分割したうちの3つ目あたりまで膨らみます。

 

画像:尻の形状
尻の形状
そのまま滑らかに曲線を描き、脚のラインへつながります。

 

 

関節点

胴体の関節点を見ていきましょう。

 

まず胸部と首の関節点ですが、これは胸部上面のちょうど真ん中で、首の下面の真ん中でもあります。これは単純です。

 

画像:首と胸部の関節点
首と胸部の関節点
次に胸部と腹部の関節点と、腹部と腰部の関節点を見てみましょう。
これは実は少し気をつけなければなりません。関節点というのは、肉体の中央にあるものであって、必ずしもBOXの中央とは限らないからです。

 

どういうことかというと、今回は輪郭線を先に描きましたが、胸部の下面の断面図を見てもわかるとおり、肉体の中心とBOXの中心がずれています。

 

画像:胸部の下面の断面図。BOXの中央と肉体の中央がずれている。
胸部の下面の断面図。BOXの中央と肉体の中央がずれている。
関節点はBOXの中央ではなく、肉体の中央です。なので慣れないうちは

 

「肉体の輪郭を描画してから関節点を描く」

 

ようにしてください。
慣れるとBOXを描いた時点で関節点の位置もわかるようになってくるので、この順番でなくても描けるようになるでしょう。
関節を曲げるときは、この位置を中心に回転させます。BOXの中心で回転させると間違った位置になってしまうので気をつけましょう。

 

同様に腹部と腰部をつなぐ関節点も、肉体の中央です。

 

画像:胴体の関節点。横から見た図。
胴体の関節点。横から見た図。
さて胸部、腹部、腰部をつなぐこの2つの関節点ですが、この2つは必ず連動して動きます。一方がある方向に曲がると、もう一つも同じ方向に曲がります。
以下の図のように、この2つの関節が別の方向へ曲がるということはありません。

 

画像:腹部と腰部が逆方向へ曲がった図
腹部と腰部が逆方向へ曲がった図
これはなぜかというと、2つの関節をつないでいるのは「背骨」であって、実は背骨はこのように明確に2つの関節があって回転しているわけではありません。
なんとなくわかると思いますが、背骨は蛇のように柔軟に曲がるようにできています。しかし実際には、胸部には肋骨、腰部には骨盤という頑丈な骨があるため、ぐにゃぐにゃと曲がったりはしません。
胸部と腰部はほぼ固定されているため、胸部、腰部自体が変形することはないのです。なので実質的には、このように2つの関節があるとみなして変形させればいいのです。
しかし本来は背骨という一つの骨でつながっているので、それぞれ別の方向へは曲がったりはせず、曲がるときは必ず連動して曲がるというわけです。

 

この2つの関節は、前屈に後屈、側屈に回旋と、どんな方向へも回転します。

 

腕と脚の関節については、それぞれのページで後述します。