手と指

腕を描き終わったら、次は手のひらと指です。まずBOXから見ていきましょう。

 

手のひらの長さ・大きさ

 

画像:手のひらBOXと輪郭、正面図、側面図。
手のひらBOXと輪郭、正面図、側面図。
手のひらBOXと輪郭、正面図、側面図。
手のひらのBOXですが、幅が6センチ(1モジュール)、長さが6.6センチ(1.1モジュール)です。
そして厚さが4センチ(2/3モジュール)あります。これは厚さの最大部分が4センチあるということです。全体の平均はもっと薄いものです。画像で見てみましょう。

 

ここで少し気をつけたいことがあります。手のひらと指の接合点ですが、手のひらと指の境目と、関節点が一致していないことです。
自分の手を見てみるとわかりますが、指の付け根の関節点は「指の付け根」よりも少し深い位置にあります。
図を見てわかるとおり、BOXの端に関節点がありますが、手のひらの輪郭はそこよりももう少し突き出た位置にあります。

 

 

指の長さ・太さ

指は5本あり、すべて長さが異なっています。なのでまずはもっとも長い「中指」を基準に考えましょう。
なお指の呼び方は、親指、人差し指、中指、薬指、小指の順に、第1指、第2指、第3指、第4指、第5指、などと呼びます。ここでもそのように呼ぶことにします。

 

それでもっとも長い第3指ですが、とりあえずは成人女性の平均的な数値でいきますと、長さが7.8センチ(1.3モジュール)、太さが1.5センチ程度(1/4モジュール)です。
ただし指の太さはもっとも付け根の幅を基準にしています。先端に行くにしたがって細くなっていきます。

 

輪郭の説明をする前に、関節点について見ていきましょう。指の長さを説明するためには、先に関節について説明しないとできません。

 

 

手のひらの関節点

手のひらの関節点は下図のようになっています。

 

画像:手のひらの関節点、正面図、側面図。
手のひらの関節点、正面図、側面図。
手のひらの関節点、正面図、側面図。
手首の関節の位置から、それぞれの指の付け根に向かってまっすぐに骨が入っており、これがそのまま関節点となります。
手のひらの中に入っている骨が動くのか?と疑問に思われるかもしれませんが、実は少しだけ動きます。前屈と後屈、側屈もわずかに動きます。回旋はしません。
自分でやってみるとわかりますが、拳を握ったり手を開いたりしてみると、特に小指へ向かう骨が動いているのがわかると思います。

 

画像:拳を握ったときと手のひらを開いたときの関節の動き
拳を握ったときと手のひらを開いたときの関節の動き
拳を握ったときと手のひらを開いたときの関節の動き
また指を開いたときも、ほんの少しだけ動いています。
たとえば第2指と第3指をめいいっぱい開いてみると、ほんの少しだけ手のひらの中の骨が動いているのがわかります。

 

画像:第2指と第3指をめいいっぱい開いた関節の動き
第2指と第3指をめいいっぱい開いた関節の動き
第2指と第3指をめいいっぱい開いた関節の動き
手のひらや指は拡大して描かれることも多いので、このあたりを把握しておくとよりリアルに描くことができます。

 

それと手首と手のひらの関節点の位置についてですが、この関節点は手首のちょうど中央にはありますが、手のひらの中央にはありません。
厳密にいうと、この関節点から第2指の端と、第5指の端までの比率は、およそ3:4という微妙な比率になっています。画像で見るとこのようになります。

 

画像:手首の関節点から、親指の端まで3、小指の端まで4の比率
手首の関節点から、親指の端まで3、小指の端まで4の比率
描くときのコツとして、この3:4のBOXを最初に描いてもいいのですが、それはちょっと難しいという場合、まず手首の関節点からまっすぐに第3指の関節が入っています。指先までまっすぐなので、まずこれを描いてしまいましょう。

 

画像:手首関節から第3指の指先までまっすぐ
手首関節から第3指の指先までまっすぐ
次に第2指と第4指が、手首関節から同じくらいの角度で出ていますので、これを描いてしまいます。

 

画像:第2指と第4指が同じ角度で広がる
第2指と第4指が同じ角度で広がる
最後に第5指と第1指を描きます。この順番にすると位置がずれにくいと思います。

 

画像:第5指と第1指を描く
第5指と第1指を描く
とにかく第3指は手首からまっすぐに伸びていますので、どんな順番で指を描くにしろ、まずはじめに第3指を描くといいでしょう。

 

 

指の関節点

先述のように、最初に第3指から描いていきます。先ほど長さは1.3モジュール(7.8センチ)といいましたが、指の3つの関節のうち、指の付け根の長さはそのちょうど半分です。
間違えてはいけないのですが、指の付け根の関節位置は「見た目の指の付け根」よりも少し奥に入り込んでいます。自分の指を曲げてみるとわかります。

 

さらに指の第2関節、第3関節とありますが、この2つは長さが同じです。つまり指の第1関節(付け根)、第2関節、第3関節(先端)の長さは、2:1:1になるわけです。

 

画像:指の各関節の長さ
指の各関節の長さ
見た目だと、先端に行くにつれて短くなっているように見えます。しかし指の「関節点」というのは、指のちょうど真ん中なのです。
図のように指の各関節をそれぞれ90度曲げてみると、第2関節と第3関節が同じ長さであることがわかります。自分の指に定規を当てて測ってみるとわかります。

 

画像:指の関節をそれぞれ90度曲げてみる。第2関節と第3関節が同じ長さ。
指の関節をそれぞれ90度曲げてみる。第2関節と第3関節が同じ長さ。
第3指の長さはわかりましたが、ほかの指はどうでしょうか。
第2指と第4指は同じくらいの長さで、それぞれ先端が第3指の第3関節の中央辺りになります。その長さをそれぞれ取り、あとはこれを付け根から2:1:1に分ければ第2,3関節の長さもわかります。

 

画像:第2指と第4指
第2指と第4指
さらに第5指の先端は、第4指の第3関節にちょうど位置します。後はこれを付け根からやはり2:1:1します。

 

画像:第5指
第5指
最後に第1指ですが、これは少し注意が必要で、ほかの指よりも関節数が一つ少なくなっています。ただし根元の骨は、ほかの指では手のひらの中に埋もれていてほとんど動きませんが、親指はこれがかなり動かすことができ、動かせる方向も2方向あります。

 

次に指の関節の動きについてみていきましょう。まずは第2〜5指です。
これらはまず前屈、後屈ができます(ふつうに指を曲げる動作)。付け根と先端の関節は、後ろ方向へもかなり曲げられます。第2,3関節(中央と先端)はこの動きのみで、側屈や回旋は一切ありません。

 

そして実は、付け根だけは側屈と回旋もできます。
側屈(指を広げる動作)はわかりやすいと思いますが、回旋もほんのわずかにできます。指を広げたり回したりしてみてください。少しだけひねられているのがわかると思います。
しかし付け根の回旋については、意図的にできるものではなく、指を大きく動かすといつのまにかわずかに回っている、という程度です。しかしまったく回らないわけではないので、一応頭に入れておきましょう。

 

指を広げたり回したりするとき、特に大きく動かすときは、手のひらの中にある骨とも連動して動くので注意してください。特に第5指では顕著に見られます。

 

画像:指をつかむように大きく曲げる動作。特に第5指は手のひらの関節も同時に動き、指の付け根も回旋している。
指をつかむように大きく曲げる動作。特に第5指は手のひらの関節も同時に動き、指の付け根も回旋している。
最後に第1指(親指)の動きです。実はこれもほかの指とあまり変わらず、まず第2,3指は前屈後屈のみで、側屈や回旋は一切ありません。
第2関節は側屈もしているように見えますが、よく見ると第1関節につられて動いているだけです。横に曲げることは一切できません。

 

第1関節(付け根)は、前屈後屈に加え、側屈もかなりの角度が可能です。位置的にもほかの指から独立しているため、回旋以外の動きはかなり自在にできます。
それで回旋はないのかというと、やはりほかの指と同様、ほんの少しだけ回るようです。しかし意図的に回すということはほとんどなく、やはりいろいろ動かしているうちにいつの間にかほんの少し回っている、という程度です。

 

画像:第1指の根元の関節の動き。
第1指の根元の関節の動き。

手のひらと指の輪郭の描き方

指の輪郭を描くときは、まず第一に、関節と骨の位置を正確に描くことが大事です。指は長さを正確に描くのは難しく、いい加減に描いていると何度も書き直しすることになりかねません。
関節の位置については先述したので、これを元にまずは関節と骨の長さをすべて描きこみましょう。関節を正確に描画すれば、指の長さを間違えることはありません。

 

まず手のひらの輪郭ですが、詳細な形状は美術解剖学に譲るとして、大まかな形状について述べていきます。
手のひらそのものは1枚の平面的な板のような形をしており、厚さはそれほどありません。どんなに指を曲げても、手のひら自体の形はあまり変わりませんので、形状を覚えておけばあまり三次元的に考えなくてもそれなりに描けます。

 

小指側ですが、手首から小指の端にかけて、少し弓なりに膨らんでから小指の付け根に到達します。
第1指側に関しては、手首からすぐに親指の付け根の関節に入ります。すぐに指の部分が始まります。

 

画像:手のひらの形
手のひらの形
第1指と第2指の間は、皮が張っていて滑らかにつながっています。この部分は形を覚えてしまいましょう。

 

画像:第1指と第2指の皮
第1指と第2指の皮
あと手のひらの厚さに関しては、第1指の付け根の部分が最も膨らんでいて、ここは最大で4センチ(2/3モジュール)近くあります。
しかしほかの大半の部分はそれほど厚くはなく、2.5〜3センチ程度(0.4〜0.5モジュール)です。

 

画像:手のひらすべて
手のひらすべて
次に指の輪郭の描き方です。まず、指は向きによって肉のつき方が異なります。
手の甲の側は肉があまりなく、ほぼまっすぐです。逆に手のひら側は肉がついていて、関節ごとに膨らんでいます。
側面はそれほど肉はなく、関節部分で少し膨らんでいます。

 

画像:指の形、正面図
指の形、正面図
指の形、正面図
また指は円柱のような形をしていますが、よく見ると六角形のような形をしています。手の甲側は平たく、手のひら側は丸く膨らんでおり、側面は丸っこいです。
特に指を曲げてみると、六角形のような形をしているのがよくわかると思います。

 

画像:指を先端側から見た図。指は曲がっている。
指を先端側から見た図。指は曲がっている。
指の手の甲側の各関節は、関節部分は平たくなっていますが、付け根の部分だけはとがっていますので注意しましょう。

 

画像:手の甲の指の付け根から第2関節へ。付け根はとがっており、第2関節は平たい。
手の甲の指の付け根から第2関節へ。付け根はとがっており、第2関節は平たい。
これらは第1指(親指)でも同じです。