性差・年齢差・個人差

性差と年齢差

体の形は男女で異なり、また年齢で異なります。
前の章ではキャラクター的な成人女性の裸体をモデルとして説明していきましたが、男性を描く場合、あるいは子供やお年寄りの絵を描く場合は、形状がかなり異なる場合があります。

 

しかし基本的な骨格や関節の動き方は、年齢で変化しません。
年齢で変化するのは骨の長さや割合、あるいは顕著なところでは筋肉や脂肪の量です。

 

BOX理論は主に骨格や関節の構造を正確に描画するためのものなので、一度BOX理論の描き方を覚えれば、性別年齢問わず、基本的な構造の描画については同じように使うことができます。
また関節点の相対的な位置に関しては、どんな人間でも変わらないので、描くときに気をつけることはBOXの大きさと、輪郭線(筋肉や脂肪の量やたるみの調整)です。

 

 

BOX理論は「骨」の構造を示す

BOX理論は骨の位置と関節の位置や構造を示しています。
前章では一応輪郭線も描いてはいるのですが輪郭線の詳細は筋肉や骨、脂肪の量や形状にも左右されるため、現時点では十分正確な形を描けるだけの知識はありません。
輪郭線をより正確に描くためには、後の章で述べる美術解剖学の知識も必要になります。

 

なので今回はあくまでもBOX、つまり骨や関節の位置や構造についてのみ示し、詳細の形状については触れません。

 

 

骨格の重要性

骨格を正確に描画することは重要です。
たとえば描くとき、肩幅を間違えて広くしすぎたとしましょう。このとき、原因が「肩の筋肉をたくさんつけすぎた」というのであれば、肩の筋肉の輪郭を修正すればいいだけです。
ところが「腕の根元の関節位置を間違えた」というのが原因の場合は大変です。関節位置を修正しなければならないため、それに続く肘や手首、手の指すべての位置まで変わってくるからです。

 

似たような間違いに見えても、骨格を間違えたほうが修正が困難で、ちょっとやそっとの修正では直りません。「ちょっと肩幅を広くしすぎたかな?」と思って肩の筋肉を減らしても、なぜか不自然なままで、腕がおかしい。関節位置に問題があると気づかないうちは、何度修正しても自然な絵にはなりません。

 

筋肉や脂肪は後の修正が容易で、時間もかかりません。美術解剖学の章では筋肉について詳細に説明しますが、それ以前に骨や関節の位置をよく覚え、間違いなく描画することのほうが重要であることを覚えておいてください。