年齢差

BOXあるいは骨のレベルでの年齢差はどれくらいあるのでしょうか。
まずは子供の体型を見てみましょう。このデータは6歳の女の子の計測結果です。

 

画像:子供の体型のBOXと輪郭(白い線が子供、黒い線が大人の女性)
子供の体型のBOXと輪郭(白い線が子供、黒い線が大人の女性)
子供の体型のBOXと輪郭(白い線が子供、黒い線が大人の女性)
子供の体型のBOXと輪郭(白い線が子供、黒い線が大人の女性)
子供の体型のBOXと輪郭(白い線が子供、黒い線が大人の女性)
子供の体型のBOXと輪郭(白い線が子供、黒い線が大人の女性)
子供の体型のBOXと輪郭(白い線が子供、黒い線が大人の女性)

 

子供の性差

第二次性徴が始まっていない子供の体型では、性差はほとんどありません。
非常に細かいところを見ると、確かに性差はあります。私たちは子供の顔を見て、それが男の子か女の子かすくに判別できます。

 

しかし子供の裸の体だけ見せられて、それが男の子のものか女の子のものか、すぐさま判別するのは難しいでしょう。子供の間は(生殖器をのぞいて)ほとんど体型に性差はありません。
なので今は、子供の体型に性差はないものとして「子供」としてひとくくりで考えることにします。

 

 

大人との差

子供の体型は、大人と比較してどう違うのでしょうか。
BOXの数値だけ見てみると、身長が大人と違いすぎるため、絶対的な長さの値ではなく、比率を見ていく必要がありそうです。

 

まず注目すべきこととして、頭部の大きさが縦に4モジュールあります。横は2.3モジュール、奥行きは3.3モジュールで、大人とあまり変わりません。
6歳の子供でさえ、頭部の大きさは大人とそれほど変わらないのに、身長は大人よりもずっと低いのです。つまり割合的に見て、頭部が非常に大きいです。
頭部の形状は特別なことはありませんが、ただ経験的にいうと、縦に潰すと子供っぽい形に見えます。つまり縦の長さに比べ、横の幅や奥行き幅を長くしたほうが、幼い形状に見えます。

 

しかし縦横の比率は大人でも個人差があり、子供でも縦長の顔の子もいますので、必ずしも横に潰せば子供っぽく見えるわけではありません。
美術解剖学の章で詳しく述べますが、頭部全体における眉毛や鼻の縦位置が、大人とは明らかに異なります。子供のうちは眉毛や鼻の位置が、割合的に低い位置にあります。

 

首以下の点を見ていきますと、全体の割合的に見ると、下に行くほど割合的に短くなっていきます。つまり、スタイルが悪いのです。
割合的に、脚が短く、胴が長いです。そして胴の中でも、胸部は特に長く、腰部は短い傾向にあります。

 

つまり人間というのは、成長するにつれて「下のほうが長くなる」ということになります。成長するにつれて腰が縦に伸び、それ以上に脚が伸びていきます。

 

そしてさらに子供の特徴として重要なところですが、横幅が狭いです。胴体の横幅は4モジュール(24センチ)で、成人女性の5.3モジュール(31.8センチ)や成人男性の5.6モジュール(33.6センチ)に比べると、ずっと狭いです。

 

さらに注目すべきことがあります。大人の女性と子供の胴体そのものの、縦と横の長さの比率を測って見ましょう。

 

現実の成人女性の胴体の長さは全部で4+2+3.5=9.5モジュール、横幅は5.3モジュールなので、縦÷横をすると約1.79になります。
一方、子供の胴体の長さは3.6+1.8+2.3=7.7モジュールで、胴体の幅は4モジュールなので、縦÷横で1.92です。

 

つまり子供のほうが、胴体の形状そのものは縦長なのです。要するに「細く見える」わけです。

 

幼い子供を見ていて、「体が細いなあ」と思ったことはないでしょうか?厳密に計測してみると、実際そうだったわけです。
この「縦長の胴体」も、子供の大きな特徴といえるでしょう。

 

 

ほかの年齢はどうか

私が計測したデータは、6歳の女の子のデータです。なのでたとえば9歳とか12歳になると、もう少し違う比率になるでしょう。
しかしそれらについては、とりあえず第二次性徴が始まるまで(男子なら13歳程度、女子なら11歳程度)は、成人の大人との中間の値をとればいいでしょう。
たとえば10歳の子供の値なら、成人と6歳の子供との中間あたりとして、脚の長さは6歳と成人のちょうど真ん中の値をとる、など。

 

また6歳以下になってくると、特に生まれたての赤ん坊になると、これは単純に推測できない特殊な体型になってきます。
赤ん坊は特に、骨の長さに対して肉の厚みが大きく、太って見えることが多いものです。
乳児から幼児の間は急激に背が伸び、体重も増えるので、単純に推定値を取るのではなく、専門の美術ポーズ集などを見て写し取ったほうがいいと思われます。

 

 

高齢者のBOX

骨格に関しては、身長が止まる年齢で後はずっと同じです。平均的見るとおよそ14〜15歳程度で身長は止まるので、BOXの大きさも以後の年齢はずっと同じ「成人男性または女性」の価を使えばいいわけです。

 

しかし人間が年をとり、寿命で死ぬ直前の人間まですべて同じBOXで描けるかというと、そうでもないようです。

 

まず人間は、高齢になるにつれて身長は少しずつ縮むようです。これはわずかな値ですが、原因は骨の退化や老化によるもののようなので、BOX自体が縮むと考えていいでしょう。
ただこのような骨の縮みはわずかなようで、あまり深く考える必要はなく、忘れてもかまわないくらいのわずかな要因です。それよりも食生活による、もともとの身長差のほうが大きいようです。

 

現代は食生活の質がよくなり、昔の人に比べると同じ年齢で比較しても、現代の若者は身長が高い傾向にあるようです。たとえば60年ほど前の18歳の男子の平均身長は160センチ程度だったようです。今は170センチを越えていますので、これで10センチの差があります。
さらに高齢者は骨の縮みによる身長の縮小があるため、同じ男性で比較しても、たとえば20歳と80歳では平均で10センチ〜15センチ程度の差はあると思われます。
骨の退化だけでなく、文化的にもともと身長に差があったので、高齢者だと特に身長を低く描いたほうが高齢者らしく見えるでしょう。

 

高齢者にはこのような骨の差があるわけですが、高齢者の大きな特徴はもっと細かい部分にあり、たとえば皮膚のたるみ、肥満や極端な痩せ(脂肪のたるみ)、筋肉のなさ、シワの多さなど、骨格よりは表面の質により多く高齢者としての影響が出ます。
今はBOXのみ考えているので詳細な説明はしません。ただ相当の高齢者の場合、病気などで背骨が曲がり、普段から前傾姿勢になる人もいます。こういった特徴も高齢者の特徴として覚えておくと、年齢感を出すのに役に立ちます。