脚と足で、読み方は同じですが示す部分は異なります。
「脚」は太ももの付け根から足首まで、「足」は足首より下の部分です。

 

脚は腕と似ていますが、腕よりも長い上、ずっと太さがあります。
さらに全体の曲がり具合が大きく、肉の付き方が腕のように一直線ではありません。奥行きもかなりあります。

 

脚は腕よりもずっと、骨や関節の位置、その上の肉の付き方に注意する必要があります。

 

 

骨と関節

足の骨の形を見てみます(この骨はPOSERというソフトに付属していたデータですが、間違いがあります。下脚はそれぞれ太い骨と細い骨が1組ずつあるのですが、細い骨は太い骨よりも外側にあります。この図では細い骨が内側にあるので、間違いです)

 

画像:脚の骨。骨の図。
脚の骨。骨の図。
まず脚の付け根の関節、太ももの付け根の関節点はどこかというと、この位置にあります。

 

画像:太もも付け根の関節点。Poserの図。
太もも付け根の関節点。Poserの図。
脚の付け根の関節点は、見た目の脚の付け根の場所とは異なり、やや上方にあります。
これは骨の形と比較してみるとわかります。骨の関節点と同じ位置です。

 

脚の骨は最初、この関節から少し外側へ出て、ひざへ向かって斜めの曲線を描きながら到達しますが、この曲率は特に気にする必要はありません。
この太もも付け根の関節点から、ひざへ直接骨が伸びている、と考えてもほとんど差し支えはありません。ただし太もも付け根からすぐ外へ向かった骨(大転子)は、表面に形として現れることがあるので(特に女性)それは覚えておきましょう。

 

ひざから足首までまっすぐに骨が伸びています。これは特に気をつけることなく、普通の関節です。
ひざから足首までの骨は、よく見ると2本あり、メインの太い骨の外側に細い骨がもう1本ありますが、これは下腕のように回転したりはしないので、関節レベルで何か特別なことが起こるわけではなく、あまり気にする必要はありません。下腕は回旋しますが、下脚は回旋しません。

 

回転方向ですが、上脚関節(太ももの付け根)はどの方向にでも回転します。前後屈、側屈、回旋、すべて可能です。
ただし後ろ方向へはほとんど回せません。前には100度くらい回すことができます。体の柔らかい人はもっと回せるかもしれません。
一つ気をつけるべきこととして、たとえば太ももをお腹にくっつけようとすると、体の固い人でもくっつけることができます。これは太もも付け根の関節が180度曲がっているのではなく、胴体も一緒に前に曲がっていてこのような体勢ができるということです。上脚関節は普通の人は180度も曲げることはできませんので注意してください。上脚だけ180度曲げるとおかしな絵になります。

 

横方向へは通常、90度以内まで上げることができますが、個人差があり、体の柔らかい人では90度以上上げられる人もいます。

 

回旋は左右どちら方向へも、90度以内程度に回すことができます。

 

この太もも関節では少々気をつけることがあり、特に前方へ大きく上げた場合、周囲の肉も大きく引っ張られるので、肉の形が大きく変わります。
特にお尻の肉は大きく引っ張られ、厚さが減ります。曲げた内側の肉は大きく集められて盛り上がります。

 

ひざの関節は一方向にしか曲がりません。側屈や回旋は不可能で、前方にも回りません。後ろにしか回りません。
しかしひざの骨の構造はやや複雑になっており、表面に見える形については気をつけるべきことがあります。これについては次の項で見ていきましょう。

 

 

表面に出てくる骨

上脚の骨で、太もも付け根の関節からすぐに外側へ骨が出ています。この突き出た骨は大転子と呼ばれ、女性の場合は結果的に腰のラインの極大点として確認できます。

 

画像:大転子、女性の場合の腰のライン
大転子、女性の場合の腰のライン
男性の場合で、特に筋肉質な人の場合、これのすぐ上と下にある筋肉が盛り上がっているため、大転子の部分がへこんで見えることがよくあります。

 

画像:大転子、男性の筋肉質な場合の腰のライン
大転子、男性の筋肉質な場合の腰のライン
男性でもあまり筋肉質でない人だと、柔らかい線を描いています。
女性の骨盤は男性の骨盤よりもかなり広く、筋肉も弱いため、結果としてこの部分が横の極大点になります。なので女性でも、相当に筋肉を鍛えている人だとこの部分がへこんでいることもあります。

 

脚の中で、骨が最も表面に形の出る場所はひざの付近です。

 

自分のひざを見ながら確認してほしいのですが、まずひざを伸ばすと、ひざの部分だけボコッと膨らんで前に突き出ています。ひざの上には筋肉も付いておらず、骨の形がほぼそのまま現れます。

 

ひざの骨の形は、ひざを伸ばしている状態ではおよそ、四角形の下に三角形をつけた形をしています。

 

画像:ひざを伸ばした形と曲げた形。
ひざを伸ばした形と曲げた形。
この部分は周囲からしても全体が膨らんでいます。四角形の上は筋肉とつながっています。

 

このひざを少しずつ曲げていくと、この四角形の上に少しずつ、また新しい四角形ができていくのがわかります。これはひざの「皿」で、ひざをいっぱいまで曲げると、伸ばしていた時の四角形の一番上はひざの一番下に位置し、ひざの表面はこの皿になります。

 

四角形と三角形自体はひざを曲げても少しも形が変わりません。ひざの皿は、ひざを曲げるにつれて少しずつ現れてくる、と考えたほうがわかりやすいです。

 

正確には、最初から皿は表面に出ており、ひざを曲げるにつれて皿だけが下へするすると降りてきます。

 

画像:ひざの皿。伸ばしたときと曲げたとき、少しずつ皿が落ちていく様子。骨の図。
ひざの皿。伸ばしたときと曲げたとき、少しずつ皿が落ちていく様子。骨の図。
そしてひざの三角形の骨のさらに外側に、下脚の2本目の細い骨の端があります。これはほとんど表面に出てきません。。ひざを伸ばしたときはあまり目立ちませんが、ひざを曲げると少し膨らんでいるのが確認できます。

 

下脚では「すね」といわれる部分、下脚の前面には1本の骨が通っており、ほとんど筋肉で覆われておらず、骨の形がかなりそのまま現れています。
筋肉で覆われていないため、外部の刺激に弱く、机の角などで打つと大きな痛みを感じる部分です。
この骨はひざの三角形の下から出て、やや曲線を描きながら、足首のやや内側に入り込んでいきます。自分で触って確かめてみましょう。

 

 

筋肉

脚の筋肉もたくさんありますが、詳細は専門書に任せ、メインのものだけ覚えてしまいましょう。
上脚の筋肉は、およそ4つに分けられます。前に二つ、後ろに二つです。

 

画像:上脚の筋肉。4つ。
上脚の筋肉。4つ。
上脚の筋肉。4つ。
前方の筋肉はおよそ2つに分けられますが、その境目が特徴的です。筋肉の境目は、腰の外側の端辺りから、ひざの内側あたりに入っていきます。ここを境目に、太ももの外側と内側に分けられます。

 

太ももの前面を占める大きな筋肉ですが、ひざのすぐ上辺りでは筋肉の端が来るので、その左右では大きな段差ができます。

 

画像:ひざのすぐ上。前方。
ひざのすぐ上。前方。
太ももの後ろでは、3つの大きな筋肉があるように見えますが、そのうち1つは前方から続いている内側の筋肉です。
お尻のすぐ下あたりでは、これらの筋肉は境目がないように見えますが、下に行くにつれて境目がはっきり出てきます。

 

画像:太もも後ろの筋肉。
太もも後ろの筋肉。
太ももを外側の側面から見ると、あまり目立ちませんが、前方と後方の筋肉の境目があります。

 

画像:太もも外側側面。筋肉の境目。
太もも外側側面。筋肉の境目。
太ももの内側にある筋肉は、端がひざの内側すぐ後ろに入り込みます。

 

画像:太もも内側の側面の筋肉。
太もも内側の側面の筋肉。

 

次に下脚の筋肉を見ていきましょう。
下脚の筋肉は、大きく分けて左右に2つついています。あまり複雑ではありません。

 

すねの骨を境目に、内側に一つ、外側に一つです。

 

画像:下脚の筋肉。
下脚の筋肉。
下脚の筋肉。
下脚の筋肉。
この2つの筋肉を前から見た場合、内側の筋肉は外側の筋肉よりもより境目がはっきりしており、くっきり膨らんでいるのがわかります。
外側の筋肉のほうが、ふくらみが滑らかに見えます。

 

後ろから見た場合、この2つの筋肉はひざ付近ではわずかに分かれていますが、下脚中央あたりでは一つに統合されているように見えます。足首まで到達すると、一つに筋(アキレス腱)に統合されます。

 

外側の筋肉は、正確にはいくつかの筋肉に分かれています。しかし特に女性では筋肉があまり目立たず、一つに見えます。男性でも平均的な体型では境目はあまり目立ちません。詳細を知りたい方は美術解剖学の専門書を見てください。

 

 

実際の形状

太ももの付け根辺りでは骨の形状が表面に見えることはほとんどなく、筋肉とその境目が見えます。

 

画像:太もも付近、前方と後方。
太もも付近、前方と後方。
太もも付近、前方と後方。
ただし女性の場合は脂肪がたくさん付いており、筋肉の境目はあまり明確ではありません。筋肉の境目を描かず、ずっと滑らかな表面として描いても、それらしく見えます。

 

ひざの周辺は骨でゴツゴツしていますが、女性の場合は脂肪が多くついているため、あまり凹凸がありません。

 

画像:ひざの周辺。
ひざの周辺。
ひざは特に、前面は骨の形がはっきり見えること、後方では中央がへこんでおり、左右に上方から来る筋が見えることが重要です。
ひざの内側へ上方後ろから入ってくる筋肉は、ひざの後ろに入っていきます。そのさらに後ろに下脚の内側の筋肉があります。この前後を間違えるとおかしな絵になります。
外側も同じで、上の後ろから入ってくる筋肉はひざの後ろへ、そのさらに後ろに下脚外側の筋肉があります。

 

画像:ひざの内側。外側。
ひざの内側。外側。
ひざの内側。外側。
下脚の前面は特にスネの骨がはっきり見えることが重要で、さらにその骨のすぐ周辺には筋肉がありません。少し後ろに回りこんでから筋肉が見えてきます。
特に下脚の内側45度くらいでは、骨がほぼむき出しで、筋肉がなくて薄い皮だけになっています。ふくらみが出てくるのはもう少し後ろへ回ってからです。このあたりは怪我をすると非常に痛い部分です。

 

またこのすねの骨は、ひざあたりの高さではほぼ中央にありますが、足首の付け根くらいになると内側へ入り込んでいきます。

 

画像:下脚の内側。筋肉の付いていない部分。
下脚の内側。筋肉の付いていない部分。

 

回旋と筋肉の動き

脚関節ではひざは回旋せず、太ももだけ回旋します。
腕では付け根も肘も回旋するため、筋肉の流れが複雑になりましたが、脚では付け根だけ回旋するので、それほど難しくはなりません。
脚をめいいっぱい左右どちらかに回旋させると、太もも付け根あたりはそれほど筋肉はねじれませんが、ひざに近づくにつれて徐々に大きくねじれてきます。そしてひざから下は筋肉のねじれはありません。