資格試験と受験勉強の違い

資格試験と受験勉強の違い

社会人が受ける資格試験の勉強と、高校や大学受験の勉強では、大きく違う点が2つほどあります。
この違いにより、やる気や危機感がかなり違うため、まったく同じようには扱えません。

 

 

失敗の判定が違う

社会人の資格試験というのは、受かれば合格、落ちれば不合格というものです。
合格ならその資格が得られ、不合格なら得られません。それだけです。

 

落ちたらまったく意味がありません。試験を受けた意味もありません。

 

ただし資格試験というのは、再チャレンジできます。
落ちてもまた次の機会に受けることができます。
長くても次の1年後に受けられるものがほとんどです。

 

落ちたら資格は取れないが、受かるまで何度も受けられる、という性質があります。

 

これに対して受験、高校や大学の受験は大きく性質が異なります。

 

こちらも確かに「落ちればおしまい」なのですが、実際は落ちる学校を受験したりはしません。
学校の先生や予備校のアドバイザーが、今までの試験の成績などから考え、受かりそうな大学を生徒に受けさせます。

 

さらに私立の高校や大学はそれぞれ試験日が違うので、いろんな学校の試験を一度に受けることができます。
浪人しないという前提なら、実際のところ「滑り止め」という、現在の自分の実力で確実に受かるような簡単な学校の試験も、念のために受けておく、という戦略を使います。

 

つまり高校や大学の受験というのは、よほどのことがない限り「落ちる」ということはありません。
失敗しても第一志望のところに行けないというだけで、最悪でも滑り止めの学校へ入れるようにするのが普通です。

 

今までの成績から考え、決してすべての受験に落ちないようにするのです。
ここが資格試験と違うところです。

 

また基本的に、浪人しないという前提であれば、再チャレンジはできません。
受験の機会は一度しかないのです。

 

 

行くべき学校は自動的に決まるのが受験

高校や大学の受験は、実際には「自分の行ける最も優秀な学校」へ行くことになります。

 

ここが一つ重要な点です。受験というのは、事前に志望校を決めておいても、その通りに行けることはまずありません。

 

これはあとで説明しますが、まず成績が悪くて志望校に入れそうになければ、それよりも偏差値の低い学校の試験を受けることになります。
また志望校よりもより高難易度の学校へ入れそうなら、そちらを受験するでしょう。

 

受験時の試験の成績で、行くべき学校が自動で決まるのです。

 

これより、生徒はかなり成績が悪くても、必ず入れる大学がどこかにあります。
だから本当に「落ちる」という心配はないのです。

 

 

動機の違い

社会人の資格試験は、資格の内容によっては取らないと仕事が続けられないというものもあります。
その年で受からないと解雇されるとか、そんなことはないのですが、いつか必要になる、というものが多いです。

 

いつか必ず取らなければならない、という危機感があります。

 

さらに資格を持っているかどうかで、仕事にも具体的に影響が出てきます。

 

資格を持っていないと取引先から実力を信用されなかったり、出世できる範囲に限界があったり(給料に限界が出たり)と、具体的に資格を取って自分がどう得をするか、損をするかが分かっています。

 

だから資格試験はやる気が出るのです。

 

これに対し、高校や大学の受験では、志望校に入れなかったからといって、突然就職できなくなるとかそういうことはありません。
志望校を少々偏差値を低いところにしても、せいぜい「この業界の大企業には入れないが、別の業界の大企業には入れるかも」とか、そんな感じです。
しかも「どの大学でどの会社まで」という情報自体、会社は公表などしていません。
志望校の偏差値を落としたところで、具体的にどう自分に得があり、損があるのか、よくわかりません。

 

そもそも学生の時点で「この大学ならこの会社に入れそうだ」と予測をつけることは難しいことです。

 

というか、そもそも受験前にどんな会社に入れるか、というところまで調べるような学生はまずいません。
なんとなく「これくらいの大学に入れば将来有利かな」くらいです。

 

さらに大企業に入ると具体的にどう将来得なのかというのが、よくわかっている学生はあまりいません。
大学生になぜこの大学に入ったか聞いてみれば、現実にはここしか入れなかったとかそういう理由が多いです。

 

これらの理由により、資格試験を受ける社会人は割と必死になりますが、高校や大学受験では「あまりやる気が出ない」のです。

 

これは学生に「やる気がないからもっとしっかりしろ」と叱っているのではありません。
もちろんやる気はあればあるほどいいのですが、受験がもともとやる気の出ない仕組みになっているのでやる気を出すのは資格試験よりも難しいということです。

 

より強力な対策が必要です。