社会人は体感的に必要性を習得している

報酬や苦しみの体感

社会人の資格試験というのは、自分が携わっている仕事に直接関係する内容です。
すでに仕事をしているので、試験の内容も仕事にどう役に立つかが分かっています。

 

どう役に立つかわかっているということは勉強しないとどうなるか、どんなひどい目に合うかもわかっています。
「ひどい目」というのは、金銭的なもの(売り上げが上がらず給料が減る)や精神的なもの(上司から怒られる、取引先から馬鹿にされる)です。
だから生活レベルが落ちないように必死になります。
実際に痛い目を見ているので、危機感が強いのです。

 

これに対し学生の場合、学歴が低いために就職や会社選びでどうひどい目に合うか、というのが体感できません。
学生が仕入れることのできる社会の情報は、基本的にはすべて人から教わったものです。実体験ではありません。

 

だから「いい会社に入れないぞ!」「給料が減るぞ!」などといっても、それが体感的にどんな感じが分からないので、結果としてやる気が出ません。
成績が悪くても生活レベルが落ちたりはしないし、学校から追放されるようなこともありません。

 

さらにこれら生活水準などは、自分でコントロールできる範囲でないことも、やる気が出ない原因です。
わかりやすい例を挙げると、たとえば「成績が良ければ100万円もらえる」とか「成績が悪ければ退学」などとなれば、今よりも必死で勉強するでしょう。

 

社会人は実際、そういう環境なのです。
成績が良ければ給料が増えるし、悪ければ解雇されたりします。

 

自分の力や努力次第で、大きな報酬がもらえたり、大きく苦しい目にあったりと、そういう状況だったらもっと必死になれます。

 

学生のほうが社会人よりも危機感が足りません。
しかしそれは状況的に無理のないことです。そういう仕組みなのだから、しょうがないのです。

 

 

積極的に社会の情報を仕入れる

それではどうやったら学生たちがやる気を得られるか、という話です。
危機感というか、今自分がやっている勉強が、将来具体的にどういう結果をもたらすのか、ということをできるだけ知ったほうがいいでしょう。

 

そもそも自分のしていることが、未来でどう役に立つのかわからないままやらされているのかというのは、不愉快なものです。
普通何かをやるときには、動機の順番が逆です。仕事をしていて「これはまずい、勉強しないと仕事ができない」と思うから、勉強するようになるのです。
仕事もしていないのに勉強させられ、後になって「ああ、こういうところで役に立つんだ」というのでは、最初勉強している時点でやる気が出ないのは当然です。

 

なのでまずは、自分たちのやっていることがどう将来役に立つのか、それも漠然と「いい会社に入れるから」というのではなく

 

  • いい会社に入れないとどうなるのか
  • 会社で成績が上がらないとどうなるのか
  • 給料が低いとどう苦しいのか
  • 職が安定しないとどう苦しいのか

 

などの情報を、できるだけ仕入れるようにしましょう。

 

そんな暇があったら勉強したほうがいいんじゃないかと思われるかもしれませんが、明日試験日ならともかく、長い目で見ればまず時間をかけてでも社会の情報を仕入れ、やる気を出せるようにしたほうがいいです。

 

とはいっても、学生にとって大人や社会との接点は、親か教師くらいしかいません。
それで私は、社会人の基本というのを、後のページでたくさん書いておくことにしました。

 

またこれだけでなく、もっとたくさん周囲の大人たちから社会の情報を仕入れるよう、普段から努力しておきましょう。

 

別に受験に限ったことではなく、行く先の情報は、たくさんあればあるほど有利です。
就職活動でも、会社情報をたくさん仕入れておいたほうが有利に進みます。

 

親が死んだ時にどうするかとか、結婚したときにどうするかとか、そういう情報は「なったときに考える」のではなく、「事前から十分な情報を集めて備える」ほうが、ずっとダメージが少なく済みます。