耐えられない理由

ストレスはどこかで発散させられる

私たちは日常でさまざまなストレス(心の負担)を抱えながら生きています。
悩みとか苦しみとか呼ばれるものです。
でもストレスを我慢しつづけると、どこかで爆発してしまいます。

 

もちろん少しのストレスならその場で我慢できますし、大きなストレスでも短時間あるいは環境や状況によってはなんとか我慢できたりします。

 

しかし非常な長時間にわたってストレスを食らい続けると、さすがに我慢できなくなり、どこかに「現れて」くることがあります。

 

普通の健康な人なら、たとえば友達と遊びにいったり、運動をしたり、あるいは飲み食いでストレスを発散させたりするでしょう。
人によっては芸術活動(ピアノや歌)だったり、ゲームだったり漫画だったり、いろいろあります。

 

いずれにしても、たまったストレスは何かで発散するのが普通です。

 

外部からの強い強制力(授業など)がない状態では、ストレスが溜まっていると発散させようとする心の動きがあります。
たとえば学校でずっと勉強しているとストレスになるため、これを発散させようとする心の動きが自然と湧き上がってきます。
家に帰るとゲームをしてしまうとか、友達と夜遅くまで電話やラインをしてしまうとかです。

 

 

ストレスが大きすぎると過剰な跳ね返りが起きる

ストレスが大きいと、それだけたくさん発散させようとする心の動きが発生します。
無理に急激に生活を変化させると、たとえば1日1時間しか勉強していないのに、急に1日5時間も勉強し始めると、その分ストレスがたくさんたまります。

 

ストレスは慣れていないことのほうが強く感じます。
毎日4時間勉強している人が5時間にしてもあまりストレスを感じませんが、毎日まったく勉強しない人が5時間勉強すると、強いストレスを感じます。

 

あまり強いストレスを感じると、リバウンド(跳ね返り)と呼ばれる現象がよくおこります。
リバウンドというのは、このストレスを発散させようとする力が強すぎて、元の状態よりひどくなってしまうことです。

 

たとえば勉強すべき時にゲームで遊んでしまうので、何とかしようとします。
毎日1時間勉強していたのを、突然毎日5時間勉強し始めると、数日してからストレスが爆発してしまい、勉強時間がほとんどなくなり、ゲームばかりしてしまう、というような現象です。

 

リバウンドはダイエットでもよく使われる言葉です。
無理に食事制限をしているとストレスが徐々に蓄積していき、ある時我慢できなくなってしまい、いつもよりもさらに多く食べてしまう。
その後もいつもよりたくさん食べ続けてしまい、結局以前よりもさらに体重が増えてしまう、というような状態です。

 

無理をすればするほど大きく跳ね返ってきます。
そして最終的に、その跳ね返りが強すぎて、元の状態よりもひどくなってしまうことが多いのです。

 

 

跳ね返りを避けるために少しずつ変化させる

ではリバウンドを起こさせないようにするためには、どうすればいいでしょうか?

 

答えは少しずつ変化させるです。

 

できるだけストレスが溜まらないよう、少しずつ変化させます。
跳ね返りができるだけ小さくなるように、少しずつ心と体の両方を、その状態に慣らしていきます。

 

新しい生活が少々ストレスのあるものでも、時間がたつと慣れてきて、そのうちストレスでなくなります。

 

十分慣れてしまったら、今よりももう少し目標を増やす。
つまり、少しずつ勉強時間を増やしていくのです。

 

急激に勉強時間を変化させると、ストレスが爆発しやすいのはもちろん、それ自体の成功率が下がります。
毎日1時間だったのを5時間勉強しようとして、早くも1日目から失敗したりします。
それどころか、毎日の1時間さえ初日から達成できず、結局まったく勉強せずに終わることもあります。
必死で1週間耐えても、翌週からストレスが爆発してしまい、以降まったく勉強できなくなることもあります。

 

それよりも、最初は目標の難易度を低くし、徐々に体と心を慣らしていき、時間をかけて増やしていきましょう。
1日目は今までよりも10分だけ勉強時間を増やすとか、それくらいなら簡単にできそうです。

 

そのうち体が慣れてきて、苦痛を感じなくなってきます。

 

 

エベレストの登り方

余談ですが、皆さんは世界最高峰であるエベレスト山の登り方をご存知でしょうか?
高さ8000メートル以上もある山ですが、一気に8000メートルまで登るのではありません。

 

登ったり下りたりを繰り返しながら、少しずつ高いところへ上がっていきます。
上がるだけでもとてつもなく大変そうなのに、なぜ何度も下ってまた上がるのか?と思うでしょう。

 

なぜこんな面倒なことをするかというと、気圧や酸素の量が少ない状態に体を慣らすためです。
地球では、地面よりも高いところに上がるほど空気が少なくなり、気圧も下がります。
急に高いところへ上がると、周囲の酸素や気圧も急に変化するため、高山病といわれる病気にかかることがあります。
高山病にかかると、気分が悪くなったりひどい疲労を感じたり、ものを食べられなくなったりします。下手すると死ぬことがあります。

 

8000メートル、直線的に行っても相当苦労しそうですが、実際は上ったり下りたりするので、実質の歩く距離はもっともっと長くなります。
なんだか面倒なことをしているようですが、実はこのやり方が登頂への最速到達方法であり、最も疲れない登り方なのです。

 

勉強も登山と同じで、一気に高い目標へ突っ込もうとすると、心や体に無理が出て耐えられなくなってしまいます。
苦しい状態に、少しずつ慣らしていくのが実は一番速いのです。