心理カウンセラーとしてふさわしい態度
心理カウンセラーとしてふさわしい態度というものがあります。
その態度というのは
信頼関係をもとに他人に影響を与えられる態度
ということでもあります。
(ただしこれは理想的な心理カウンセラーの態度であり、実際のカウンセラー達が常に理想的な態度を取っているとは限りません)
理想的な心理カウンセラーの態度というのは、俗な言葉でいえば「強さと優しさ」です。優しさだけでは不十分です。
それは少し前のページでも説明したように、会社のような場では優しいだけの人間は全く役に立たず、優秀で仕事ができることが絶対に必要です。
心理カウンセラーは俗に「愚痴を聞く仕事」と思われていることもあり、何でも話を聴いてくれる、とても優しい人がやっているのだと思われることが少なくありません。
実際、うつ病の患者や心にトラウマを抱えた人などを「癒す」という仕事内容なので、そう思われるのも自然なことです。
しかしながら、うつ病やトラウマなど、自分の心の傷と向き合い、それを克服するというのは大変なことです。
信頼できる人と話し合う場が用意されることも重要ですが、自分の心のあり方を変えるには、相当の決断力、強さ、勇気も必要になります。
それはただの優しさ、というより、ただ甘やかしているだけでは治ったりはしません。
自分の心のあり方を変えるには、仕事をするのと同じく、強い指導者のもとでのアドバイスが必要になります。
会社で仕事をするときは、優しいけれども弱い人に相談しても失敗します。自分が成長できず、その仕事自体も失敗に終わるでしょう。
心理カウンセラーの強さと厳しさ
心理カウンセラーはよく「相手のすべてを受け入れなさい」などといわれます。それは聞こえはいいのですが、ただ受け入れるだけでは何も変わりません。
巷でしばしば「カウンセラーに相談しても何にもならなかった」といわれることが多いのですが、これをカウンセラー自身が勘違いしていることもよくあります。
つまりカウンセラー自身が、ただ相手のいうことを聞いて、すべてを受け入れればそれで仕事が終わりなのだ、と思っている場合です。
カウンセラーには厳しさも必要です。
もちろんあまりに厳しい態度を取って、相談者が自力で回復する気力を失っては、効果はありません。
カウンセラーは相手の心のあり方を変えるという仕事ですが、これは自分で自分を変えるときにも同じことが当てはまります。
つまり自分一人で自分の気持ちや行動を変えるという場合、自分自身がカウンセラーとなり、自分に向かってアドバイスするようなものだと思ってください。
そのときただただ自分を甘やかしているだけでは何も変わりません。むしろ自分一人で解決しようとする場合、自分に対してただただ厳しい態度が必要になるでしょう。怠惰を許さず、何としてもやり遂げる決意と行動が必要になります。
しかし強さといっても、自分の弱さを認めることも必要です。
自分の弱さがあれば、これに向き合い、正していく態度が求められるでしょう。
心理カウンセラーの派閥
少し余談になりますが、日本の心理カウンセラーには派閥のようなものがあります。
ロジャーズ派とかユング派とか、認知行動療法とか無数にあります。
これらは当然すべて同じようなやり方をするわけではなく、派閥によっていろいろな方針、手法が異なります。
しかしこれらどの派閥を取っても、相談者との信頼関係を重要視し、相談者の話をよく聞くことについては共通しています。
信頼関係や共感的傾聴の姿勢は、人に影響を与えるための態度として間違いない部分であるという認識は、ほぼ間違いないということです。