一見無関係そうな問題の根源を処理する

一見無関係そうな問題の根源を処理する例

たとえばですが、あなたが仕事でうまくいかず、いらいらして酒を飲みまくっているとします。
毎日ストレスが溜まって酒を飲みまくり、そのせいで家族に八つ当たりしているとします。
周りの人は、あなたの問題行動(酒飲み、八つ当たり)を問題行動として認識し、何とか直そうとするでしょう。
たとえば酒を飲まないように注意する、居酒屋に行くためのお金を渡さない、八つ当たりしそうになったら誰かが注意するなどです。

 

問題行動に対しては、何か外的な強制力で対処しようとするのが、ふつうの対処のしかたです。

 

でもそれではうまくいかなかったとします。
これは実際よくあることですが、酒を飲まないように注意してもついつい飲んでしまったり、居酒屋へ行くお金を取り上げても、誰か友達や会社の仲間におごってもらうかもしれません。

 

ここで、誰かが親身になってあなたの話を聴いてくれたとします。
あなたはそれですっきりし、悩みが解決したとしましょう。心の整理がつき、「よし、もうお酒はやめよう!」と決意し、その後いっさい酒を飲んだり家族に八つ当たりしなくなったとします。

 

今までは酒を飲まないように注意しても、お金を取り上げても効果がなかったのに、話を聴いてもらったら問題行動が全部治ってしまった、というものです。
あなたは周りの人に「すまん、今までどうかしてた」などと謝るので、周りの人たちには「突然心を入れ替えて問題が解決した」ように見えます。

 

しかし実際は、話を聴いてもらいながら問題を整理し、決意する心の準備ができた、という過程があったのです。
何もきっかけがなくて突然心が入れ替わったのではありません。

 

 

問題を認識するだけで問題行動が治ることがある

話を聴いてもらわなくても、自分で問題を認識し、問題を整理するだけでも問題行動が治ることがあります。
いわば自浄作用ともいうべきものです。

 

心理的な問題というのは、実際に言葉にしたり説明してみないとよくわからないものです。今まで問題を問題と認識していなかったり、治すための行動を考えていなかったりします。

 

たとえば先の例では、お酒を飲んでいてもそれを悪いと思っておらず、そもそも本人が治そうと思っていなかったり、また治そうにも具体的に「どうすれば治った状態になるか(酒を買わなければいいのか、酒を買うお金がある時点でだめなのか)」とか「治すために具体的にどう行動すればいいのか(居酒屋に行かなければいいのか、目の前に酒があっても我慢する力をつければいいのか」など、しっかり考えていないことも多々あります。

 

いやむしろ、問題について改めてしっかり考えないと、どう解決すればいいのか全く不明なことがほとんどです。どう行動すれば解決するのか考えてもいないので、当然解決しません。
「なんとなく悪いから治したい」くらいに思っており、その先を考えていません。

 

実際のところ、何をすればいいかわからないから解決していないだけで、すべきことが分かってすぐに解決することもあります。

 

このサイトでは、まず問題を明らかにした後、次に具体的に何をするかの目標を立てるように指導していますが、単純な問題なら目標を立てるまでもないこともあります。
先の例だと、要はお酒を買わないか、居酒屋に行かなければ済むことです。
問題をしっかり認識し、「じゃあ居酒屋に行かないことにしよう」と思っただけで解決することもあるのです。

 

心理療法では、カウンセラーが終始全く何も話していないのに、問題が解決してしまうことがあります。
ただ相談者が一方的に問題について語っていただけなのですが、自分でしゃべっているときに頭の中で問題を整理し、どうすれば解決するかまでその場で考えてしまったのです。

 

必ずしも誰かにアドバイスを受けなければ問題を解決できない、ということではありません。

 

 

自浄作用は起こらないことも多い

とはいっても、問題を整理したり誰かに話すだけで問題が解決することもあれば、解決しないこともあります。
私は前の章で「習慣を変えられる段階」があり、ある段階でつまづいているとき、その段階をアドバイスしてクリアさせれば、あとはもともと人間に備わっている自動回復機能のようなもので自然に治療が進む、といいました。

 

この自動回復機能のようなものは、常に起こるとは限りません。
変化の段階は、別のところで非常にしつこい障害に阻まれているかもしれません。

 

先のお酒の例ですと、もし本人に「自分は心が弱い人間だからお酒をやめられるはずがない」というような思い込みがあったりすると、問題を整理しようがお金を持たないようにしようが、問題が解決しないことがあります。
できないという思い込みで本当にできなくなっている場合、そこをどうにかしないと先へ進めません。
家族や周囲の人たちも、注意したりお金を渡さないようにしたりと、見当違いの解決を続けてどうしても解決せず、途方にくれたりします。
あるいはお酒というのは中毒性があるので、身体的に中毒症状が出ていると、これは心理療法ではなく、本格的に病院にお世話になるべきだったのかもしれません。

 

もっともしつこい障害がどこにあるのかが分かっていれば、解決はかなり速く進むでしょう。そのためにも問題についていろいろ話し、分析することが必要になります。

 

 

習慣を身に着けるには聴いてもらうだけでは足りない

ちょっとした悩み相談、特に何か行動しなくてもいいような相談、たとえば失恋したので落ち込んでいるとか、そういう場合は単にしゃべるだけ、愚痴るだけでも解決してしまいます。
しかし勉強をするようになる、日々の習慣を変えようというような場合では、問題についてしゃべるだけでは解決しないことのほうが多いです。

 

しゃべるとか頭の中で整理するだけでなく、具体的な行動計画を立て、実践して記録、反省までしなければ成果が出ません。
でも問題について頭の中で整理しておくことは、解決するための一つのステップとして、とても大事です。

 

 

それで結局どの問題を取り上げたらいいのか

問題について話したり整理したりすることが、問題の解決につながるということを今説明しました。

 

さて話を戻して、ではいったいどの問題を問題としてとりあげたらいいのか、ということです。

 

先の例では、問題行動(酒を飲む)がある場合、その根本を解決すること。たとえば仕事のイライラを誰かに聞いてもらうとか、そんな例をさっき挙げました。

 

これが勉強の場合だと、たとえば学校で友人関係がうまくいかず悩んでおり、そのイライラを解消するために家でゲームをし続けている、それで勉強時間が減っているとしましょう。
この場合、いらいらしながらもゲームを我慢して勉強するという手もありますが、なかなかうまくいきにくいです。
実際ゲームを我慢しようとすると、今度は漫画を読みだす、という具合に、別の行動でたまったイライラを発散させようとする可能性が高いです。

 

それよりもまずはその友人関係のイライラを解消してしまえば、ゲームをするという行動も自然に治ると予想できます。

 

このあたりは自分でも判断が難しいところです。「気づき」が要求されます。

 

この場合、勉強をしようとしてもゲームをしてしまうので、まずはゲームが問題行動で、これを我慢して勉強することを目標としましょう。
そのゲームをする行為について、「なぜゲームをしてしまうんだろう?」と自分自身に問いかけてみます。

 

それはたとえば「単に面白いから」という答えが出るかもしれません。
でももしかしたら、「なんとなくいらいらしてストレス解消したいから」と思うかもしれません。それならそのイライラの原因は?などと追及することで、学校での友人関係という答えにたどり着けるかもしれません。

 

このあたり、自分の心の中で起こっていることをしっかり把握できれば、問題の解決もいっそう速くなることでしょう。
では問題の認識を深めるため、何かいい方法はないでしょうか?
次のページでは、問題の詳細や原因を探る方法を説明していきます。

 

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8章のまとめ
この章では問題を具体化し、詳しく分析・認識することで問題の具体的な解決を探る方法を学んでいきます。
問題を認識する
勉強の習慣を身に着けるために、勉強できない自分の悩みを取り上げる必要があります。しかし問題の根源は勉強と一見関係なさそうな場合もあります。
問題を詳細に探る
問題が分からなければまず目標を立てて勉強してみます。うまくいかなければこれを分析し、問題行動がなんなのか探っていきましょう。
5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どうやって)
自分の悩みに対して、いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どうやって?と質問してみましょう。問題がはっきりすることで具体的な解決策が見えてきます。
具体化
5W1Hのほかにも、言葉の内容を具体化することで問題の解決がわかったり、不適切な思い込みを治すことができる場合があります。
「もし〜ならば」と問いかけてみる
自分に「もしこのままいくと将来どうなるか」「もしこの悩みを解決したら将来どうなうか」と問いかけてみましょう。それで問題解決の必要性がもっとわかるはずです。
「過去に一度でもできたことはないか?」と問いかけてみる
過去に問題を解決できたことがあれば、その時のことをを詳しく思い出して再現することで問題解決ができます。
他人に説明するときに役立つ「たとえ」
誰かの協力やアドバイスを得るとき、自分の感覚が理解されにくい時にたとえを使って説明すると分かってもらいやすくなります。
思い込みをなくすための「比較・判断・読心術」
ネガティブな思い込みで勉強する気が出ない場合「何と比べて」「誰がそういうのか」「なぜそれがわかるのか」と質問することで誤った思い込みを減らせます。
意識と無意識を理解する
大半の習慣は無意識で行われるため、それを変えようとした場合、問題が起こる瞬間に意識できるようになる必要があります。

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