まず目先の目標を立てて実行する
問題についてある程度整理ができたら、次に目標を作り、それに向けて計画を立てていきましょう。
問題についてよく認識しただけでも問題が解決されることがありますが、いつもそううまくいくとは限りません。
特に勉強という、具体的に行動を起こさなければいけない問題については、明確な目標を作ることは非常に重要です。
しかし慣れている人ならいざ知らず、「勉強計画を立てるなんて初めてだ」という人が、いきなり長大な目標を作ってはいけません。
まず間違いなく早々に計画が狂って、時間をかけて作った残り長い計画もすべて無駄になります。
慣れていない人が計画を立てるときのコツは、ほんの少しの計画を立て、すぐに実行して実現可能かどうか確かめ、計画に問題があれば立て直すことです。それを繰り返します。
目標を作り、それを達成するための計画を立てること、それを実行すること自体が一種の能力であり、人生における重大なスキルであるといえます。
能力なので、最初のうちは失敗を繰り返すことでしょう。
難しすぎる目標を立ててしまったり、長すぎる計画を立てて短期間で崩壊したり、目標を立ててみたもののまったく実行せずに何日もすぎる、ということがよく起こります。
でもやっているうちに、うまく計画を立て、実行できるようになってきます。
計画が狂った時の修正のしかたは後でまた説明しますが、とにかく最初はできるだけ簡単な、しかもすぐに結果が分かるような目標を立てましょう。
明日勉強する時間だけ設定する
そこで一つの提案ですが、まずは「明日勉強する時間」だけ設定してみます。
たとえば「明日は家に帰ってから、いつもより10分長く勉強する」などです。
現在の勉強時間が1時間なら、1時間10分あたりを目標にしてみましょう。
現在0分なら、まずは10分勉強することを目標にします。
10分というのは、そんなに少ししか増やさなくていいのかと思うかもしれません。
でももしこのペースで、つまり1日10分ずつ勉強時間を増やしていったら、1週間後には70分勉強時間が増えることになります。1か月後には1日に5時間も勉強時間が増えることになります。
もちろんこのペースは急激すぎます。1か月で1日5時間増やすというのは、心理的にきついでしょう。
実際はもう少しペース幅を抑えつつ、ある程度の勉強時間を確保できれば、それでよしとしましょう。
計画というものは、最初からあまり先のことまで考えすぎるとうまくいかないものです。
まずは自分にできるペースをつかむことから始めましょう。
達成可能な程度にする
この時注意してほしいことですが、今の時点で必ず達成可能な程度の目標にしてください。
最初は加減が分かりにくいかもしれません。
今まで家で1時間勉強していたところを、明日からは2時間勉強するというようなことが、人によってはあっさりできるかもしれませんし、まったくできないかもしれません。
もしかすると、今より10分長く勉強することすら難しいかもしれません。1分か2分くらい増やすのが限界かもしれません。
その時間の多い少ないが問題ではないのです。
「今よりも少し、たくさん勉強する」ということが大事なのです。
そしてそれが次の日、ちゃんと達成できたかどうかを見てください。
一番悪いのは、最初から飛ばして「毎日5時間勉強する」というような目標を立ててしまうことです。
この目標を立てて、実際に1時間しか勉強できなかったとします。1時間でも普段よりはたくさん勉強したとしましょう。
しかし5時間といっておきながら実際にたった1時間しかできなかったのでは、「計画通りに実行できなかった」という敗北感があり、それによって無力感を感じるかもしれません。
先に説明したように、無力感というのは何かをやろうとするときに心理的に妨げになります。あまり良いことではありません。
しかしこれでも別に敗北感など感じないし、大きな目標を立ててその一部だけ達成するのが自分に合ったやり方、というならそれでもいいでしょう。
自分に合った計画の立て方でいい
目標や計画の立て方は人それぞれで、自分に合ったやり方があります。
とりあえず今よりも勉強時間が増えさえすれば、何でもいいのです。
計画と実際が、一定間隔で狂うという事態も考えられます。
私の場合、特に勉強の開始時刻が遅くなりがちで困っていたことがあります。
たとえば毎日9時から勉強を始めようとすると、1時間遅れて10時に開始してしまう、というようなことがよくありました。
こんな場合、「毎日2時間勉強しよう」としていたとすると、計画上は9時から11時までなのですが、実際は10時から12時までになってしまいます。
なので計画の上では8時から10時までとしておきます。こうすれば実際には1時間遅れるので、9時から11時まで勉強してしまうというわけです。
自分に合ったやり方で、しかし無理がなく、容易に達成可能な目標を最初に立ててください。