時間と量

時間優先か量優先かやりやすいほうで決める

先のページではまず、今すぐやるべき時間と勉強の量を決めるようにいいました。
しかし勉強に慣れていないうちは、どの勉強がどれだけの時間かかるかわからないこともあります。

 

たとえばやると決めた問題集を、5問を30分で終える予定だったのに、実際やってみると2時間かかった、というようなことがあるかもしれません。
あるいは意外にも5問やるのに10分しかかからなかった、ということもありえます。

 

このように、どれくらいの量をどれくらいの時間でやれるかわからないうちは、時間か量のどちらかだけ目標にするといいでしょう。

 

時間優先なら「今日は30分勉強する」
量優先なら「今日は5問やる」

 

というふうにです。

 

ただし計画というのは、最終的には時間と量と両方計画してその通りにやらないと思うような結果が出ません。
なので、最初は量だけ、時間だけ決めてやっていても、最終的には時間と量の両方を決めてできるようになってください。

 

 

量優先で決める

量優先というのは、たとえば「今日は5問、問題集をやる」というような計画の立て方です。

 

資格試験の勉強の場合はこれでないといけません。
資格試験はだいたい「この問題集を3周やればいい」とか、合格の基準になる問題集とその周回数がわかっていたりします。
たとえば宅建試験の場合、市販の宅建問題集(2000問程度)を3周すれば合格するといわれています。

 

それは資格の内容によって違います。この情報がまだわかっていない場合、まずそこを調べてください。これは資格試験では非常に重要なことで、そういう情報を収集できないようではまず試験に受かることはありません。
漠然とテキストを読んだり問題をしていても、まず受からないのが資格試験の特徴です。これは高校・大学受験と大きく異なる点です。

 

こういう都合があるため、資格試験の場合はまず全部でやるべき問題の量を出し、それを試験日までにこなせるように1日でやるべき問題の数を決定します。
宅建であれば2000問を3周なので、全部で6000問、試験まで1年あるとすれば、1年は365日なので1日に20問程度でしょうか。このように計算します。

 

20問こなすのに、30分かかるかもしれませんし、3時間かかるかもしれません。
実際には3時間かかるのに、自分の1日の自由時間が1時間しかないような場合、この目標が達成できません。
あるいは睡眠時間を削ったりすると、次の日に疲れて勉強できなくなるかもしれません。

 

量を決めて勉強しても、どれくらいの量をどれくらいの時間でやれたかはちゃんと覚えておきましょう。

 

 

時間優先で決める

時間優先というのは、たとえば「今日は30分勉強する」というふうに、時間だけ目標を決めます。
このやり方は、高校や大学受験のような、「どれだけやればどれだけの成果が出る」という情報がはっきり分からないような場合にやりやすい計画のしかたです。

 

ただし「何をやるか」くらいはちゃんと決めておきます。
たとえば「勉強時間30分のうち、このテキストを読む」「この問題集をやれるだけやる」というふうにです。

 

この計画の問題点は、とりあえずその時間内にはちゃんと勉強しているものの、内容が薄くなりがちであるということです。
何かというと、たとえば1日30分勉強しようと決めた場合、とにかく30分やりさえすればいいという心の甘えができてしまい、内容が手抜きになりがちです。
普通に頑張れば30分で5問できそうなのに、「とにかく30分やりさえすればいい」と思っていると、3問くらいやったら後は気が抜けて、なんとなく机に座っているだけで満足し、終わってしまうかもしれません。

 

量優先で決めたときは、時間以内に終わらなければ時間を延長してやることになります。ノルマが終わるまではずっと続きます。
このため時間優先よりもしんどいですが、長期的な目標を定めている場合にはその通りに進むので、本来はこちらの方がいいのです。

 

時間優先で計画を立てると、どれくらい問題をやればどれくらいの期間で終わるのか、それによってどれくらいの結果が出るかよくわかりません。

 

なのでできれば量優先でやってください。時間優先の計画の立て方は、全く勉強の習慣がついていない人や、机に座ってもすぐにやる気をなくして別のことをしてしまうような人が、とりあえずは勉強という状態に「慣れる」ための準備段階といった立ち位置です。

 

 

時間優先か量優先か

時間優先か量優先か、最初どちらで計画を立ててみるか迷うかもしれません。
そういうときは、少しきついですが、できれば量優先で計画を立ててみてください。

 

時間優先の勉強の長所は、ストレスがたまりにくいことです。量優先の方が心理的にはきついです。
ただし量優先の方が、長期的な計画を立てた場合にほぼその通りに行くのに対し、時間優先では長期的にどれくらい進んでどういう結果が出るかがわかりません。

 

量優先で初めて、きつくて計画がうまくいかない場合、量を減らしてみましょう。
それでもうまくいかない場合は、時間優先でやってみましょう。

 

 

ベストなのは量と時間を同時に決めること

思うような結果を出すためには、最終的には「どれくらいの時間でどれくらいの量進むか」がわからなければなりません。

 

時間優先でも量優先でも、やっているうちにどれくらいの時間でどれくらい勉強が進むのかがわかってきます。
計画がある程度うまくいっていれば、1週間くらいで量と時間の関係がわかってきます。
これは人によって多少の違いはありますが、そんなに個人差は出てきません。ふつう試験というのは、みんな同じくらいのスピードで解いていくものです。
資格試験でも大学入試センター試験でも、普通のスピードで解いていくと、だいたい解き終わると終了時間5分前くらいになっています。

 

自分の勉強時間と勉強量の関係がわかってきたら、それをもとに、ストレスがかかりすぎない程度に勉強時間と量を設定していきます。
ここでもやはり、「急に時間や量を増やす」ということはやめてください。時間や量を増やす時は必ず少しずつにします。

 

そしてある程度の期間、一定の勉強時間、勉強量を続けられるようになったら、それをもとに長期的な計画を立てます。
この問題集を1年で終わらせるのに1日何問すればいいとか、試験日から逆算して1日のノルマを出していきます。
そしてくどいようですが、必ず少しずつ変化させるようにしてください。ストレスがたまると一気にたるむことが多いです。

 

ただし長期的な計画は、ある程度の期間、目標通りこなせていけたときにやるものです。計画自体がうまくいっていないと、時間と量の関係がわからないままです。
計画を立てたけどまったく実行していないとか、昨日は2時間やったけど今日は10分しかやっていないとか、毎日ばらばらの時間や量では、長期的にどれくらい進むのか見当がつかないため、長期的な計画が立てられません。

 

また時間と量の設定がうまくできるようになると、やる気のたるみがなくなります。
時間内に指定の量が終わりそうにないと、「やばい、もっと急がないと」と焦ります。それでちょっと気が抜けて休憩しそうになっても、その休憩への欲求を抑えられることができることが多いです。

 

 

時間に対して量が多すぎる場合・少なすぎる場合

時間と量を定めて勉強した時、量が多すぎて指定時間内に終わらないことがあります。そのようなときは「これはまずい、計画を変えないと」と修正を迫られます。そのような修正を繰り返していくうちに、自分がどれくらいの時間でどれくらいの量できるのかわかるようになってきます。

 

また時間に対して量が少なすぎることもあります。30分で5問やるはずだったのに、10分で終わってしまった時などです。
この時はもちろん、30分で15問という時間設定に修正します。