生理的状態変えるという方法について

あなたは勉強を「やる気」がありますか?

突然あなたが「勉強、やる気ありますか?」と質問されたらどう答えるでしょうか?
おそらくこれに「はい」と、すぐさま自信を持って答えられる人はあまりいないでしょう。

 

でもよく考えてみてください。あなたは普段から「勉強をやらないといけない」と感じてはいませんか?そう感じているからこのサイトを読んでいるのではないでしょうか?
「やらないといけない」と感じているなら、それはもう勉強を「やる気がある」ということではありませんか?

 

そうです。あなたは自分ではやる気がないと思っているかもしれませんが、本当はすでに勉強を「やる気」はあるのです。

 

だからといって、「勉強、やる気ある?」と聞かれて、「はい、勉強をやる気はあります。なぜなら勉強しなければならないといつも感じているからです」とはなかなか答えづらいものです。

 

「勉強、やる気あるの?」と質問する人は、たいていは自分より目上の人なのです。先生とか親とか。
たいていこの質問に「やる気があります!」と答えると「じゃあなんで勉強していないんだ!」とか文句を言われるので、「やる気がありません」としか答えようがありません。

 

あるいは「やる気があります」と答えれば「じゃあ勉強できるはずだろ!」と怒られ、「やる気がありません」と答えれば「ふざけるな」と怒られ、どう答えても同じく怒られるような状況もあります。

 

こういう質問は、意味がありません。適当に合わせてやり過ごしてください。
会社でもこういう無意味な会議がよくあります。どちらかというと上司が部下に恐怖心をあおり、恐怖で働かせようとするときです。
こういう動機付けは、恐怖がなくなると途端にやる気がなくなってそれ以降何もできなくなります。ここで求めるべきはそういう一時的な結果ではないのです。

 

勉強をやる気はあるのに、つまり勉強しなければいけないと思っているのに、実際には勉強ができていないから、「やる気がないんです」と答えています。

 

本当は違うのです。あなたは「やる気があるのに、行動に移せていない」というだけなのです。
これがたいていの人には理解できません。先生も親も、たいていは「やる気があればすぐ行動に移せる。やる気さえあればいくらでも勉強できる」と勘違いしていることが多いです。

 

やる気があるだけでは、勉強できるようにはなりません。

 

 

「やる気」の正体は「気分」?

では気分というのは、どのようにして決まっているのでしょうか?

 

少し難しい話になりますが、気分というのはアドレナリンとかセロトニンとか、いわば体の中を駆け巡っている化学的物質によって決まっているのです。
世の中の薬の中には「鎮静剤」とか「興奮剤」のようなものがあります。これらを注射すると、気分が高まってハイテンションになったり、逆に気分が治まったり、怒りがわきあがるとか、いろいろな「気分」になります。

 

これらは別に注射したりしなくても、普段から体の中で増えたり減ったりしています。
私たちが怒りを感じたときに、怒りを感じる化学物質がドッと増えます。悲しいことがあると悲しく感じる物質がドッと増えます。

 

生理的状態を変えるというのは、気分を変えるということです。
勉強をするために、気分さえ変えればいいというものではないのですが、まったく気分が乗らないときや、絶望的な気分になっているときは勉強もやる気が起きません。

 

以前にうまくいった時のことを思い出したり、うまくいっている人になりきったりすると、それだけで気分が変わり、体内でやる気の出る化学物質がたくさん出てきます。気分が問題でやる気が出ないときは、こういう対処法が有効になるというわけです。

 

もし危険な副作用がなければ、勉強する前に気分がよくなる興奮剤を注射すれば、急にやる気が出てきて勉強がはかどるかもしれません。
しかしもちろんそんな危険なことは医者の処方がない限りできません。うつ病の患者などは、こういう体内の化学物質の出方に異常をきたしているため、薬を飲ませて気分を変えさせているのです。

 

 

気分が変わるだけで勉強ができるわけではない

勉強する習慣を身に着けるためには、気分を高めるだけでは不可能です。
ところが多くの人が、「すごく勉強する気分になる」だけで勉強できると勘違いしているので、やる気があっても勉強できないという事態から抜け出せません。

 

それはこういうことです。まず

 

やる気が出ると、そのあとそれに合わせた行動をしようとします。

 

やる気が出る → その後 → 行動する

 

です。
しかし「やる気が出る」の後、それを行動に移すまで少し間があるのです。
それはたとえば以前に説明した「詳しく目標を立てる」とか、「自分の問題と認識している」とか、そのへんのことです。
これらの段階をクリアしていないと、「やる気が出る」けれども次の「行動する」の段階にたどり着けないのです。

 

言い方を変えれば、「やる気はあるけど行動できない」ときに、やる気を出す対策を取っても何も変わらないのです。
別の対応が必要です。目標を詳しく立てるとか、環境を変えるとか。
すでにやる気があるのにさらにやる気を出しても、何も変わりません。