インターネット以前(〜1995年あたり)

作品の発表と交流

現在はスマートフォンでインターネットができますが、以前はスマホというものがなく、またモバイルというのは回線速度が非常に遅くて高価だったため、インターネットをするのはパソコンが主流でした。

 

パソコンは昔から多くの人がWindowsを使っていました。そして1995年といえばWindows95という、Windowsの先駆け的なバージョンが出た年でもあります。
これ以前はまだ人々がパソコンというものになじみがなく、一般家庭に普及していませんでした。したがってインターネットそのものが家庭に普及していませんでした。

 

この時代にはインターネットがないので、もちろんネットを通じて人々が交流することもありません。
人が出会うのはいわゆる「リアル」の世界だけです。このころはリアルとかネットとかいう言葉もありませんでした。
遠隔通信の手段もスマホのラインやらメールではなく、基本的にはすべて電話です。このころには手紙で文章を書くということもたくさんありました。あるいは場所が近ければ家まで訪問して伝える、というのが普通でした。

 

インターネットがないので当然、自分が作った創作作品をネットで発表することなどできません。また作り手同士の交流もありません。

 

ではこの時代、作品を作った人は誰に発表していたのでしょうか?
その相手は当然身近で仲のいい人に限りますので、学校や職場で知り合った、いわばごく普通の仲のいい友人にだけ見せたりしていました。
ただ創作活動というのは好き嫌いがあり、簡単に同じ趣味の人は見つかりません。
多くの場合、親しい友人に見せても「へぇ…」「すごいね」と驚かれるくらいで、それほど反応が得られるものではありませんでした。

 

 

学校の部活動やサークル

こういうときに貴重なのが、創作系の部活動やサークルです。
これはネットのない時代、同じ趣味の人が集まれる唯一の組織であるといっても過言ではありません。
ここで知り合った人と仲良くなると、以降ずっと創作の友人として付き合えます。

 

そして部活やサークルの場合、発表の場は学校の学園祭がメインになります。
学校が発表の場を用意してくれているので、そこでやるというわけです。自分で発表の場を用意したり、お金を出して告知するというようなことはする必要はありません。

 

このあたりは現在でも同じです。ネットのない時代から、部活やサークルで友人たちと発表するという形式はずっと変わっていません。

 

 

社会人サークル

学校を卒業すると全く発表の機会がなくなってしまうかというとそうでもなく、社会人サークルというのがあります。
おばさん向けのカルチャースクールのようなものから、本格的な同人組織まで、いろいろあります。

 

ただネットのない時代ですと、メンバーを募集したり発表する場所を確保するのが大変だったりします。
ネットでメンバー募集するわけにもいかないので、張り紙を出したり地元のマスコミに取材してもらうとか、ハードルが高くなります。
社会人がOBとして学校と絡んでいる場合も多く、その場合は卒業してからすんなり社会人サークルに入り、活動を続けることができます。

 

作品を発表する場所としては、たとえば絵描きだと個展を開くとかなると、ハードルが上がります。

 

 

同人即売会

コミックマーケットのような同人即売会もこのころからあったので、貴重な発表の場でした。
ただこのころは「同人(アマチュアの活動家)」というものの存在がまだ一般に知られておらず、コミックマーケットの存在そのものが知られていませんでした。
そのため当時のコミックマーケットは現在よりも参加人数がずっと少なく、ほかの即売会はあっても存在を知ることができないことがほとんどでした。

 

当然、地方で同人即売会などほとんど行われていません。
コミックマーケットは東京で行われるため、遠方の人は参加が困難になります(これは現在でも同じです)
このため関東から遠方の人は地方の同人即売会がメインの発表の場になる人も多いはずですが、その即売会がないとなると、どうしようもなくなります。
遠方の人がお金を必死でためて、東京のコミックマーケットに「遠征」に行く、というような武勇伝が語られるような時代でした。

 

 

制作とスキル

インターネットのない時代、作品を作るためのスキルを身に着けるための適切な情報を得るのは難しいことでした。
今ならネット上で「絵の描き方」「お話の作り方」など、無料でたくさん情報を検索できますが、インターネットがなければ大半は書籍から情報を入手することになります。
その書籍というのも創作技術となると数が少なく、専門書を売っている専門書店までわざわざ足を運び、高いお金を出して購入する、というような流れでした。
あるいはよほど高度な技術だと、わざわざ国会図書館まで行って技術書を読んでくるなどの苦労がありました。

 

またデジタル制作のソフトウェアはどうしたのかというと、そもそもパソコンが一般家庭に普及していないため、デジタルという概念もあまりありませんでした。
多くの人は「パソコンの画面上で絵が描ける」ということを知らないか、できないと思っていました。
漫画やイラストは紙に描いて印刷しており、デジタルツールとかはあまり考える必要がありませんでした。

 

 

仲間が探しにくい時代

ネットのない時代、創作仲間を探すのはとにかく難しい時代でした。
部活にしろサークルにしろ、学校で創作系の組織を設置していないこともあり、そうなると仲間を探すことは絶望的になります。

 

ただ、それが一概に悪いとも言い切れません。
なかなか仲間が見つからないので、仲間が見つかったときにはとても貴重な友人になりました。
そういう人とは一生の付き合いになることも少なくありません。

 

地方では孤立しているように見える人でも、コミックマーケットで知り合った人と仲良くなれたりするので、同人即売会が非常に貴重な出会いの可能性を持っていました。
出会いが少ない分、その少ない出会いを大事にしていたのです。

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