mixiなどSNS乱立時代(2005〜2015年)

作品の発表と交流

2000年前半あたりから世の中にSNSというものが普及し始めます。
今までインターネットを通して人々が交流するためには、自分のホームページに「掲示板」を設置したり、あるいは誰かが用意した「投稿型サイト」や「ブログ」を使うしかありませんでした。

 

これは難易度的な敷居が高く、また更新通知がなされないという仕様上、その投稿サイトやホームページを毎日巡回しなければなりません。

 

たとえばネットに10人知り合いがいたら、10のホームページを毎日回る、ということになります。しかし実際10もホームページを回ってチェックしていくのは大変ですし、そこはリアルな友人と同様、本当に親しい人は毎日見て、少し遠い人は数日に一度とか、そういうふうに見て回っていました。
そのつながり自体、リアルの友人関係に近いものでした。

 

 

mixiなどSNSの問題点

mixiやtwitterのようなSNSでは、たくさんの人と同時に交流できます。
記事やツイートを更新すると、親しい人でもそれほど親しくない人でも同様に通知されます。

 

さらに導入が非常に簡単で、インターネットやコンピューターに全く詳しくない人でも簡単に操作できるものでした。
これによってSNSというものが一般の人たちに普及し、ネットのつながりがより一般的になっていきます。「リアル」「ネット」というような言葉が使われ始めます。

 

しかしこれによって新しい人間関係がどんどんできたかというと、それほどでもありませんでした。
実際にはリアルの友人とmixi内でつながっていることが多く、プライベートな会話や学校・職場でできなかった話をしたりすることが多かったのです。

 

さらに、以前の「ホームページ+掲示板」の交流方式と比べ、特に作り手たちの間ではmixiなどの交流に移行することにより、以前のような濃密な交流ができにくくなってきました。

 

作り手たちが作るホームページにはある程度決まった体裁があり、自分の作品が更新されたらすぐにそれがわかるよう、デザインするものでした。
常連の訪問者はたいていホームページのトップページをブックマークするため、トップページに更新通知などを出し、新作をすぐにアピールします。その感想などが掲示板に、訪問者によって書かれます。それによって交流が継続します。

 

これに比べ、たとえばmixiは、誰かが日記を更新すると「○○の日記が更新されたよ!」という通知が自分に届きます。
そして訪問者は普通、この更新部分しか見ません。

 

仮に自分がホームページで新作を発表し、mixiの日記に「こんな新作を出したよ!」と宣言したとし、ホームページへのリンクをそこに貼ったとします。
一部の訪問者は日記を見てホームページへやってきて、作品を見てくれるでしょう。

 

しかしその日記は、時間がたつと新しい日記の下に埋もれてしまい、見えにくくなります。
訪問が遅くなった訪問者はその日記を見ないかもしれません。すると更新した作品も目につかなくなります。
ホームページなら必ずトップページに更新通知がなされているので、このような取り逃しは発生しません。

 

これはmixiの例ですが、どんなSNSでも更新通知や作品の載せる場所、日記や掲示板などの交流場所は最初から指定されており、作り手たちの自由にはできません。
SNSはたいてい作り手ではない普通の人たち向けにデザインされているので、作り手たち特有の交流のしやすさがありませんでした。

 

mixiなどSNSの普及によって掲示板も衰退し、個人でホームページを持っていても掲示板を設置する人はほとんどいなくなったり、使わなくなっていきました。

 

 

友人関係の均等性

mixi内では知り合い(マイミク)が日記を更新したとき、自分に通知されます。
これがちょっとした問題を引き起こします。大して親しくない人なのに頻繁に日記を更新する人がいると、その人の更新ばかり目についてしまいます。
あまり親しくない人をマイミクにしてしまうと、その人の更新ばかり目につき、本当に親しい人の更新通知が埋もれて見えなくなったりします。

 

外部からいろんな人が入ってきたために、今までの友人たちとの交流が疎遠になってしまうことがあります。
人が親密になるためには、ある程度外部の刺激を遮断しなければなりません。その輪の中に余計な情報が入りすぎる可能性のあるmixiのような場所では、密な人間関係が築きにくいという点がありました。

 

作り手たちに限らず、このように今までの人間関係を崩されたくないため「知らない人からのマイミク受け付けません!」などの宣言をしている人も少なくありませんでした。
mixiにいる人が皆新しい人間関係を求めてやっているわけではないのです。

 

 

mixiで人間関係は増えたのか?

mixiを始めたからといって、新しい人間関係が増えて人生が豊かになったかというと、おそらくほとんどの人が「そんなことはない」と答えるでしょう。

 

以前のmixiは招待制という仕組みを取っており、誰かの招待がないと入れない仕組みになっていました。
この場合たいていはリアルの友人に招待されて入ってきて、それでmixiに入るとmixi内で自動でその人とマイミク関係になっています。
mixi内での交流の始めが招待者なので、そこから伝って人間関係が広まっていっても、やはりリアルな友人の延長となっていきます。

 

以前の投稿サイトやホームページや掲示板のように、知らない人とネット内ですごく仲良くなる、というようなことはほとんどありませんでした。
mixi内にも作り手たちが集まるようなコミュニティはありましたが、投稿専用サイトではないのでそれほどにぎわいを見せず、交流密度も増えませんでした。

 

そのように考えると、作り手たちはむしろmixiのようなSNSを使い始めることによって「作品を通した交流」はしにくくなってしまいました。

 

 

SNSの乱立の問題

このころSNSを使ったビジネスが流行っていたのか、似たようなSNSが大量にありました。
mixiは非常に長い間存在し続けた大規模SNSですが、これと似たようなSNSで、できてすぐに消えてしまうSNSもありました。

 

このようにできて間もなく消えてしまうSNSでは、せっかくそこで人間関係を作っても、SNSの消滅と同時にその人間関係も消えてしまうことが多いのです。
このようなSNSに入ってしまうと、ネットの人間関係は希薄なものだと実感させられてしまいます。

 

リアルの人間関係でも、たとえば学校を卒業してから電話番号やメールアドレスなどの連絡先を紛失してしまうとつながりを失ってしまいます。
しかし誰かの「電話番号がなくなる」ということはまずありえません。SNSではこれに似たことが起こってしまうのです。
いわばNTTがなくなって電話番号というものがなくなり、人間関係が切れてしまった、というようなのに似ています。SNSの運営者は営利団体なので、その会社が倒産してしまうと連絡先も切れてしまうのです。

 

 

大手投稿サイトの出現

2005年あたりにYOUTUBEやニコニコ動画のような大手動画サービスが出来上がり、ここに人が集まってくるようになりました。
動画サイト設立の背景として、高速インターネット回線の全国への普及や、ファイル圧縮技術(H.264など)の発達などがあります。
これらによって動画サイトが一気に発達し、これに多くの人が群がる結果となりました。

 

そして残念なことに、今まであった投稿サイトも動画サイトに客を取られる形で消えてしまったものがいくつかありました。

 

動画サービスでなくても、たとえば小説投稿サイトでも大手の一つのサイトに集中するような現象がみられてきます。

 

投稿型SNSが発達してくると、利用者たちの間ですぐに情報が広まり、最もサービスのいい、人の集まるところに集中してしまいます。
しかし投稿サイトで異常に人が集中するということは、投稿者にとってはライバルが激増するという意味でもあります。
そしてすべての作品はランキングなどによって並べ替えられ、結果として人気者に一極集中という現象が起きます。

 

また昔の投稿サイトは作り手たちだけが作品を見せ合っていたのですが、今の有名動画サイトなどでは動画を見るだけの一般ユーザーのほうが圧倒的多数を占めています。

 

この自然な流れによって、昔のような少人数投稿者による濃密な人間関係というものが薄れてしまい、「一極集中した人気者とそのファン」という構造になってしまいました。
多くの作り手たちはほとんど無視され、作品を出してもほとんど反応が得られず、しかもそのわずかなつながりすらすぐに切れてしまいます。
そして一部の人気者だけに反応がすさまじく集中しています。

 

多くの作り手たちにとって、作品に対する反応は以前よりもずっと得にくくなっています。
薄く広い人間関係の中で、漠然とした不安を持っている人も少なくありません。

 

さらに問題なのが、再生数や視聴数という数字が目に見えることです。
これらの数字によって作品がランキング付されたり、検索の並び替えによって先に出てきたりします。

 

昔の投稿SNSは、単に新しい作品を上から順に出しているだけでした。
なので作品を出しさえすれば、その出来にかかわらず、ある程度人の目につき、反応も得られるというわけです。

 

しかしたとえば「この作品は再生数の多い人気の作品だ」とわかれば、多くの人はまずそれを見たくなります。
検索するときに「人気順」などで並び替えることができれば、皆そのように並び替えて作品を鑑賞するので、新人が新作を出してもほとんどの人の目につかなくなります。わざわざ「新着順」で並び替える人は非常に少ないです。

 

これによって、自分の作品を人に見てもらうためには何とかして人気を取るしかなくなり、これによって従来の投稿サイトではなかった「競争」という概念が生まれてきました。
それまでは皆好きなように好きな作品を作っていたのが、いつの間にか「再生数を取るための作品」になってくることも少なくありません。
こうなると特にアマチュアの趣味で楽しんでいた作り手たちは、作品を作ることに純粋に楽しめなくなってきます。

 

 

制作とスキル

作品を作るための制作スキルは、このころから少しずつインターネット上でも普及していきます。たとえばお絵かきの技法などです。
ただ2005年くらいだとまだインターネットの検索技術が未熟で、金目的のスパムサイトが多くを占め、検索サイトは使いづらいものでした。
これも検索技術とともに検索精度が上がり、現在では検索エンジンでなかなか良質なスキルサイトを見つけることができるようになってきています。

 

またソフトウェアの価格も下がってきており、かなり高性能なお絵かきソフトが無料で使えたりします。3DCGも最近では無料で高性能なソフトがあります。

 

デジタル作品の制作の敷居が下がってきた時代です。

 

ゲームエンジンも楽に安く作れるものが普及していき、ゲーム制作の敷居も下がっていきました。

 

しかし前述のとおり、敷居が下がったことで出回っている作品の数がかなり増えてしまい、供給過剰となり、作品が「埋もれる」現象が起きています。
競争があまりに激化し、一部では作品作りが楽しみにくい状況が生まれています。

 

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