小出しにしてテストする
ビジネスをやろうというときに一つ覚えておいてほしいことがあります。
それは「小出しにしてたくさんテストする」というものです。
これは時間的なリスクを最小限にとどめておくためのいい方法です。
たとえばあなたがゲームを作ってメジャーデビューしたいとしましょう。ゲームを作るのはたいてい、時間がかかるものです。ジャンルにもよりますが、短いものでは数週間、長いものでは数年単位でかかります。
ところで実際のところ、ゲームのジャンルによっては大手企業が激しく競争しているような分野もあり、そんなところに無名の素人が入っても勝ち目はまったくありません。
そのジャンルを選んだ時点ですでに間違っているのであって、競争に負けてしまってもあなたの腕がどうこうという理由ではなく、まずは参入分野が悪いのです。
こういう無謀なジャンルに参入し、5年かけてゲームを1本作ったとしましょう。でもそのゲームは全く売れないのでその5年間は無駄ということになります。これは大変大きな損失です。
作品作りの一つの問題点は、作品を作ってからでないと成果がわからないことです。作った後に売ってみて、その時初めて「このジャンルでよかった、あるいは間違っていた」というのがわかります。よかったならいいのですが、間違っていれば最悪です。長い製作時間も無駄になってしまいます。
私たちはプロのマーケッターではないのですから、「このジャンルに参入すれば確実に成功する」というのがわかりません。はっきりいって、やってみるまでは「このジャンルでいいかどうか」がわからないのです。
こういう場合に時間的リスクを最小に抑えるため、まずは「小出しにして反応を見る」ことをおすすめします。
たとえばゲームであれば、いきなり大作に手を付けるのではなく、まずは小規模のものを作る。しかも小規模のゲームで、製作の早い段階で公表し、ユーザーたちの反応を見ます。その反応がよければ続行してもいいし、まるで反応がなければ制作を中止し、別のジャンルに移ればいいでしょう。
このユーザーたちの反応は、できる限り早い段階で見られるようにした方がいいです。ジャンル選びに失敗しているかどうかがわかるのは、早ければ早いほどいいです。
2週間のテストを行う
何かを始めようとするとき、できれば2週間、遅くても1か月程度で成果がわかるようなものがいいでしょう。
漫画であれば、とりあえず数ページ描いてみてどこかへ発表し、様子を見ます。ゲームであれば、「こんなゲームを作る予定」とまずはどこかで宣言してみたり、最低限システムとして動いている動画を作って動画サイトへ出してみるとか、とにかく最初の早い段階で作りかけのものを発表してしまうといいでしょう。
サイトやブログ作りであれば、とにかく書いて公開し、アクセス解析をおいて毎日どれくらい反応があるかを見ます。数週間しても全く反応がなければ、そのジャンルではまるで検索してもらえないということがわかるかもしれません。
たくさん同時に試作する
2週間のテストは、何もひとつのジャンルだけに絞る必要はありません。
実際のところ、やろうとしていることが成功する確率はかなり低く、10個出したうち1個当たるか当たらないか、というくらいの確率です。
1つの作品だけ集中的にやるのではなく、思いついたものはなんでも片っ端から試すのがいいです。この「2週間のテスト」を、10くらいの作品やコンテンツで同時並行的に試してみて、1つ当たればその後はそこに集中すればいいのです。ほかの9つはたぶんそれ以上頑張っても無駄でしょう。
数うちゃ当たる的な発想でたくさん打ってみて、そのうち当たったものだけに集中します。
最初はいくつかやってみてもちっとも当たらずにがっかりするかもしれませんので、「どうせ当たらないだろう」くらいの軽い気持ちで、いくつも試し打ちすると気が楽です。
意外なものが当たる可能性がある
いくつも同時的に試していると、意外なものが当たることがよくあります。
たとえば私は絵の描き方をウェブサイトで提示していますが、ここはそれほどお客さんは来ません。
それよりも実は、「作品の売り込み方」をニコニコ動画(ニコナレ)で出した方が反応がよく、すごくたくさんの人が私の意見を読んでくれました。
最初は絵の描き方を動画にして発表していたのですが、これが全然再生数が伸びないので、なんで伸びないんだろう?と研究しているうちにその「伸びない理由」を考察したところ、大きな反響があった、ということです。
これは私にとっても意外でした。絵の描き方を売り込もうとしていたのに、そのついでに書いた意見が一番反応があったのです。
こういうことがよく起こるので、最初から「これを売り込むぞ!」と決めてかからない方がいいです。
そして特定のジャンルに絞り込むことなく、思いついたことは何でも公表し、反応を見るほうがいいです。
もしあなたが自作の漫画を売り込もうとしていても、漫画そのものが売れるとは限りません。しかし自分の「好きな漫画のレビュー」を書いていたら共感する人が集まって大きな話題になるかもしれません。
好きな漫画の「聖地巡礼」をしていたらその話題で人が集まるかもしれないし、あなたが好きな漫画のコスプレをしたらやはり人が集まるかもしれません。
「本当にやりたいことではないけど、なんとなくついでにやってたら大当たりした」というようなことのほうが、実際には多いようです。私が見てきた成功事例でも、やはりそういうのが多いです。
しっかり準備をして構えて「さあこれをやるぞ!」と始めるよりも、「ちょっと面白そうだからやってみるか」くらいで、小出しにポンポン発表して反応をうかがった方が成功しやすく、リスクも少ないです。