道の難易度

長距離走行というと自転車で何時間も走るわけですが、道には難易度があります。最初からあまり難易度の高い道を走ってしまうと、途中で疲れすぎたりして大変です。
とりあえず私たちは体力のない素人ですので、トラブルを防ぐため、また体力の消耗を最小限に抑えるためにも、全力で楽な道を選び抜きましょう。

自転車の障害

 

自転車を走らせる上での障害はいくつかあります。代表的なものは

 

  • 勾配(坂道)
  • 道路

 

の3つが大きいです。順に見ていきます。

 

 

勾配

自転車の大きな障害の一つは、何といっても上り坂です。坂道が急激であればあるほど、坂道の距離が長ければ長いほど、そこで急激に体力を消耗してしまいます。
反対に下り坂は楽ですが、たいてい下った分また上るので体力を消耗します。もしスタート地点とゴール地点の標高差が同じであれば、下り坂があればあとで必ずその分上ることになるし、上った分は後で下ることになります。
特に同じ道を往復する場合や、一周回ってゴール地点がスタート地点と同じ場所であれば、必ずそうなります。
なので結局、多くの場合は勾配そのものがなるべくないほうが楽です。ずっと平坦な道が一番楽です。

 

しかし日本の地形は山林が多く、長距離走行でずっと平坦な道などなかなか存在しません。ある程度は上り坂を覚悟しなければなりませんが、できるだけ勾配のない道路を選んだほうがいいでしょう。

 

走りやすい道と走りにくい道の例
湖や海岸沿いが一番走りやすく、初心者向けです。海岸沿いは必ず水面とほぼ同じ高さが続きます。少々回り道をしてでも、海岸沿いを走るコースにすると、体力を消耗せずに走りきることができます。

 

逆に走りにくい道の代表例は、峠・山道です。上級者になるとわざわざ峠を攻める人もいるのですが、体力のない素人が長距離走行するのにはできるだけこういう道は避けたいものです。

 

 

勾配を調べる方法

事前に坂道を調べる方法ですが、グーグルマップで経路探索(ルート・乗換)し、スタート地点とゴール地点を設定したら、移動方法を「徒歩」にすると、およその標高が出ます。
このとき標高の最高点の高さと最低点の高さが出るのですが、そのほかに「↑600m ↓700m」みたいな数値も出ています。これを見ましょう。
これは勾配の合計高さを表しています。たとえば標高差が300mの山を2回越えると、この値は「↑600m ↓600m」になります。3回越えると「↑900m ↓900m」になります。
スタート地点とゴール地点の標高差がたいしたことがなくても、ずっと勾配続きで上った坂道の標高を合計したら2000mになった、というような場合は、結局は2000mの山を上ったのと同じことです。これはすごくしんどいです。
この値がなるべく小さいルートを選ぶのが楽するコツです。

 

勾配はゆるければいいのか?

勾配とは坂道の角度のことですが、たとえば同じ標高差で、急激な上り坂が1km続くところと、緩い上り坂が30km続くところとでは、どちらが楽なのでしょうか?
これはちょっと考えどころなのですが、私が走ってみた感覚ではどちらもあまり変わらないような気がしました。
急激な短距離の上り坂を上ると一気に体力を使うのですが、短時間なので思ったよりも体力を消耗していなかったりします。
また長距離の緩い坂道だと、地味に速度が出しにくく、じわじわと体力を削られていくような感覚があります。
どちらが乗り越えやすいかは人によって相性があるかもしれません。私は短距離できつい上り坂を走り、後で楽するほうが好きです。

 

ただ、あまりにも急激な坂道がある場合は短距離でも避けるべきでしょう。特に立ち漕ぎが必要なくらい急坂だと、短時間でもものすごく体力を消耗します。
短い距離なら無理せず自転車から降りて、手で押して進んだほうがいいです。
グーグルマップはあまりにも短い距離の急坂は出してくれませんので、そこは実際に行ってみないと分からないこともあります。

 

 

自分はどれくらいの標高まで大丈夫か?

私の場合ですが、短距離では標高差が300mくらいまでは大丈夫で、長距離走行でも200mの標高差くらいはあっても大丈夫でした。
正直ヒルクライムという言葉には非常にビビっていたのですが、実際やってみると200〜300mまでは意外と平気でした。
もちろん私は普段から走りこんでいるような上級者では全然なく、普段から運動を習慣にしているような人でもない、平均的な体力の人です。それでもこれくらいはなんとか上れました。

 

あまり自信がなければ、近場の坂道をためしに自転車で上ってみましょう。何百メートル上れるか試してみて、どれくらい上ったら体力の消耗がどれくらいか、事前に把握していれば自信がつきます。

 

 

風(逆風)

 

車でも徒歩でも気にならなかったのが風の問題です。
順風(後方から吹いてくる風)ならスピードが上がって便利なのですが、逆風(前方から吹いてくる風)だとかなりスピードが落ちます。
さらに自転車のスピードが上がっている状態であればあるほど、その分走行による空気抵抗が強まりますので、さらに逆風の追い討ちがついている状態だと相当な抵抗に感じます。

 

それで逆風への対策ですが、風の弱いところを走る、という方法しかありません。
しかし実際のところ、どこか風が弱いのかは走ってみるまでわかりません。地元の人たちだと「このあたりは風が強い」などと知っていたりするのですが、そこに行くのが初めての人間にとっては「どこが風が強いのか?そして風はどの向きにふいているのか」などわかりません。

 

一般論ですが、地形的なことをいえば、周囲に高いものがたくさんある場所ほど、風を遮られるので風が弱くなります。
たとえば建物の多く建っている都市部、田舎でも山に囲まれた場所や山すそあたりでは風は弱くなる傾向にあります。

 

逆に田舎の見渡しのいい田園地帯や草原が広がっている場所などは、視界が広くて見晴らしはいいのですが、風が強くて自転車では進みにくいことが多いです。
田舎道で道を選べるなら、田園地帯の真ん中を走るより、山際を走ったほうが風が弱くて走りやすいことが多いです。

 

風の強さや向きはランダム性が強く、実際に走ってみないと分からないことが少なくありません。
同じ道を何度か走ってみて、このへんは経験的に風が弱い、ということがわかってそこを走るようになる、というようなことが多いです。

 

またネットの天気予報などで、風向きと風の強さがある程度はわかるので、それを参考にすると役に立ちます。

 

 

どの道路を走るか

自転車で走るとき、特にロードバイクで走るときは、基本は車道(左側)を走るのが原則です。例外として歩道を走行することになっています。

 

しかしながら、世の中には交通整備が未発達な場所も少なくありません。
車道が異常に狭いところもあり、マニュアル通りに車道を自転車で走っていると自動車と接触する危険性が非常に高く、長時間の緊張状態を強いられてくたくたに疲れることがあります。
かといって、特に国道だと歩道を走るのも難儀なことがあります。歩道は段差が多く、自転車への衝撃が大きいです。また細かい石がたくさん落ちていたりと、一般的には車道よりも道路の舗装状態が悪く、疲労やパンクにつながりやすいです。

 

このように、特に国道のような交通量の多いところでは、車道を走るのも嫌だし歩道もよくない、ということになることが多いです。
そこで道を決めるときにあらかじめ対策を練っておきます。国道はできるだけ避けるようにし、国道と並行している細い道を通るようにすると楽です。

 

たとえば私は滋賀県大津市の国道を往復で走ったことがあるのですが、グーグルマップでそのままルートを出すと国道をそのまま走るルートになります。
行きは国道を走ったのですが、大変苦痛で体力も精神力も消耗してくたくたに疲れました。
そこで考え直し、帰りは国道と並行している細い道路を走りました。すると行きよりもずっと体力の消耗を押さえて楽に走れるようになりました。

 

グーグルマップは、自動車モードにするとたいてい国道を走るようなルートを出します。
徒歩モードにすると、急激な坂道などを含めて出してしまうので、自転車では苦しいことがあります。
自転車モードというのもあるのですが、私の住んでいる地域では使うことができませんでした。

 

 

道路の舗装状態

また舗装状態の悪い道路というのがあり、そこそこ体力の消耗に影響します。

 

ひび割れの多いアスファルトをロードバイクで走るとすごい振動があります。これは疲れたりお尻が痛くなる原因にもなります。
舗装したばかりの滑らかなアスファルトだと振動も少なく、スピードも出しやすいです。
ただグーグルマップで見ても、アスファルトの舗装状態などわからないので、実際に走ってみないと分かりません。
走っているうちに最適な道路が見つかったりします。