第3章・制作手順と表現手法

第3章・制作手順と表現手法

第1章と第2章ではひたすら人体の構造や詳細形状について述べています。これらは人体を「正確に描画する」ための内容です。いわば「おかしく見えないようにする」ための知識です。

 

しかし美術というのは、何か表現のための目的を持って行われます。本来は人体を描画することで「何を表現するべきか」を考え、それを実際にやらなければなりません。
また人体の知識を大量に持っているだけでは、実際にどのように使えばいいのかわからない部分もあります。

 

第3章では、今までの知識を元に「どのような手順で制作していくか」さらに「高度に表現するためにどのように考えていけばよいか」というような、制作に関するプランニングも含め、実際に人体を描画していきます。

 

内容としては、まず「テーマ」や、描画すべき人物の性格、ポーズの作り方、そして表現すべきもののためにはそれらが何を意味するかを知っていなければなりません。
この章は、すでに「人物を正確に描ける」ことを前提としています。それでもいきなりこの章を読んで無意味ということはなく、表現やそこに含まれる意味などは、誰でも知っていて損はないと思います。

 

特に「人体各部の機能」に関してはかなりの解説量になります。目的の表現を達成するためには、人体の各部がどのような目的で作られ、どのように機能するかを知っていると便利です。

 

この章はさらに、色彩理論や構図の理論、カメラや画面の「枠」に関することにも触れます。

 

衣服に関することもこの章で扱います。第1章と2章では、基本的には裸体デッサン(長さ、太さ、骨、筋肉)に関する話で、衣服の描画法については触れていません。

 

光や陰影に関する理論もここで扱います。第1章と2章では、ひたすら形状を正確に把握し、それをどう描画するかということに徹しているため、陰影や光の表現に関してはほとんど解説していません。
光や陰影にも意味があります。それを学んでいきましょう。