脚と足は違います。「脚」とは太ももの付け根から足首までのことで、「足」は足首から足の指先までのことです。
ここでは「脚」の描き方について学びます。

 

脚には上脚と下脚があり、上脚とは脚の付け根からひざまでで、下脚はひざから足首(足首の関節点)までの長さとします。

 

 

上脚と下脚の長さ

脚の長さには個人差があり、さらに人種によって長さそのものや体全体の割合も異なります。
ここではとりあえず標準的な日本人キャラクターという前提でやっていきます。

 

脚のBOXは以下のようになっています。

 

画像:上脚と下脚のBOX、正面図と側面図、関節点
上脚と下脚のBOX、正面図と側面図、関節点
上脚と下脚のBOX、正面図と側面図、関節点
上脚と下脚のBOX、正面図と側面図、関節点
脚のBOXは、横に2モジュール、奥行きが3.5モジュール、そして縦の長さは、上脚が4.5モジュールで下が5.5モジュールとします。
腕と違い、奥行きがかなりあります。脚そのものもかなり太いのですが、脚はたいていまっすぐではなく、肉の付き方にも片寄りがあるために、BOXそのものは大きく取らないと収まりません。

 

 

輪郭線の描き方

脚を正面から見た場合、腰部の外側からひざまでは柔らかく膨らんで、弓なりにひざまで輪郭線がきます。そしてひざの少し下でまたふくらみ、足首へ向かって細くなっていきます。ひざのすぐ下のふくらみは、下足の筋肉によるものです。
骨盤の広さは男性と女性で異なります。成人女性の場合で描いてみますと、腰の端はボックスの端と一致しています。輪郭線はその腰のBOXの一番外側から、ひざ関節の部分へ向かいます。向かう線の横位置は、脚ボックスの横幅の8分の5程度になります。

 

脚の内側は、脚の付け根から少し膨らみつつ、いったんひざ近くでへこみ、またひざの部分で膨らみます。ひざを下回るとまた一度膨らみ、足首へ向かって細くなっていきますが、足首の時点では骨があるためにまた膨らみます。ひざのすぐ上とすぐ下のふくらみは、単純に筋肉によるものです。

 

横から見た場合、お尻の部分が太いですが、太ももの中央あたりではへこんでおり、ひざを越えるあたりでまた後ろへ下がります。そのままひざ下で最も後ろへ膨らみ、足首へ向かって細くなっていきます。
前方では太ももから少しずつ後方へラインが下がっていき、ひざを下回るとまっすぐぎみになり、足首へ向かって細くなっていきます。

 

なぜ全体的に下に行けばいくほどラインが後ろへ下がっていくかというと、重心とバランスの関係です。自分で直立してみるとわかりますが、直立すると太ももの付け根よりも足首のほうがずっと後方にあることがわかるでしょう。足首を前方へ出すためには、腰を曲げて上半身を前に曲げないと、倒れてしまいます。

 

ひざの輪郭線を描くときに少し注意することがあります。ひざの前面は、曲げたときには平たくなります。

 

画像:ひざを曲げた時の形
ひざを曲げた時の形
自分のひざを曲げ伸ばししてみるとわかりますが、曲げたときにひざの前面に「新しく面ができた」かのように感じます。これはひざの「皿」にあたる部分が、内部では通常の関節に加え、前面に皿が重なっているような形になっています。

 

ひざを曲げると、骨の境目は開いて間が空洞になるはずなのですが、空洞になったのは危険なので、空洞を皿が防ぐような形になります。
このため、脚を曲げてもひざはとがった形にならないのです。

 

 

脚の関節点

まず脚の付け根の関節点ですが、これは少し気をつけなければなりません。
正面から見ると、上下位置は腰部の下から3分の1、左右位置は胴体の横幅のちょうど半分のところにあります。

 

脚の付け根の関節点は、腰部の中にあります。これはちょっとわかりにくく、検証しにくいところにあります。お尻の肉が厚いため、脚の見た目の「付け根」よりも上にあります。
これは自分の体で確かめてみるのが最もわかりやすいかもしれません。自分の腰の、ビキニライン(ビキニの水着をはいたときの水着のライン部分、股から横っ腹までのライン)の真ん中あたりを指で押さえ、脚を曲げ伸ばししてみてください。つまり、脚の付け根を関節回転させてみてください。
関節点は関節を回しても動きませんので、指が少しも動かない位置が関節点となります。ビキニラインの真ん中あたりに動かない点が見つけられると思います。そこが関節点です。

 

ひざの関節点については、これは見たままひざの中心です。

 

 

腰と脚の関係

脚の付け根と腰の動きは連動しており、気をつけるべきことがあります。
たとえば直立していている状態から、片方の脚に体重の大部分をかけるポーズをやると、体重をかけた脚の付け根はもう片方の付け根よりも上に上がっています。

 

画像:片方の脚に体重をかけた関節の位置関係。腰部が曲がって脚の付け根の位置が上がっている。
片方の脚に体重をかけた関節の位置関係。腰部が曲がって脚の付け根の位置が上がっている。
これは脚に体重をかけたため、その力で脚の付け根に上方向の力がかかってこのようになっているだけです。
重要なこととして、このとき「腰部が側屈回転している」という点です。

 

体重がかかってそのぶん腰が回りますが、腰だけ回すと脚が斜め方向に出てしまいます。
なので脚もそれに合わせて逆方向へ側屈し、まっすぐ下へ伸ばされます。

 

細かいことですが、このような理屈を知っているとよりリアルな人体の描画に役に立ちます。