BOX理論で縦回転

先の章ではBOXをそれぞれ横方向へ奥行き回転させたものを描画しました。
この章では、奥行き横回転させた後に、さらに縦方向へ回転させたBOXの大きさを、計算で出す方法を解説していきます。

 

しかしこの章の内容は、このウェブサイトの中でも最も数学的な部分です。空間的な想像力が必要で、人によってはかなり難解と感じられるかもしれません。
また計算過程やイメージのしかたもかなり難しくなってきます。

 

 

頻繁に使う角度ではない

一般に美術では、特に顔面では、こういった角度、「斜めの上あるいは下方向から見た角度」で写すことはあまりありません。
多くの場合、顔面は横回転させるのみで、縦回転、つまりカメラで上から見たり(俯瞰図)、下から見たり(あおり図)などは、表情が見えにくいこともあって、それほど頻繁に使う角度ではありません。
使うことがあっても、それほど大きくない角度であることがほとんどです。あまり大きな角度で上や下方向から顔を見ると、表情がほとんど見えなくなってしまいます。

 

体全体がこのように斜め方向に見える構図というのは、プロの漫画家などでも描きにくいポーズの一種です。たとえばこんな絵になります。

 

画像:斜めから見た構図の例。
斜めから見た構図の例。
このような角度はあまり頻繁に使いません。また体のあらゆる部分がこのような斜め上下から見た角度になることも少なく、多くの場合は「体の一部分だけ斜め上あるいは下」の場合で、一つのポーズのすべてのBOXを複雑な計算で見た目の長さを出さなければならない、ということはまれです。

 

実際にはあまり使う機会はなく、またあまり使わないような構図を選び、構図の計算に時間をかけすぎないようにする、という工夫も必要です。時間は限られています。

 

しかしどうしてもこういった構図を使う必要に迫られる場合もあり、また独創的な、工夫のある構図を出すために使いたくなるときがあります。
そのようなときのため、一応のところ、計算で出す方法も覚えておきましょう。

 

 

短縮法

この計算はかなり複雑なので、時間もかかって面倒です。
そこで少し正確さは劣るが、もっと速く描けるような簡易法もいくつか考えておきました。これについてはこの章の後で説明することにします。