肩は首のすぐ下です。胴体の一部ですが、腕の付け根でもあります。
肩の動きはかなり重要なので、しっかり把握しておきましょう。

 

 

骨と関節

肩の骨はこのようになっています。

 

画像:肩の骨
肩の骨
肩の骨
肩の骨は2つあり、前方には鎖骨、後方には肩甲骨があります。それぞれ左右対称に2つずつあります。

 

肩の関節点は実質、鎖骨の根元にあります。首と胴体の境目です。2つの鎖骨が出会うところでもあり、首の下関節部分と同じ場所と考えてもいいでしょう。

 

画像:関節点の位置。骨で表示。
関節点の位置。骨で表示。
関節点の位置。骨で表示。
肩の関節を動かすときはいくつかの機会があります。腕を激しく動かすときも必要ですが、首を防衛するときにも肩が使われます。

 

肩関節は、動かすと鎖骨と肩甲骨が動きます。正確には「肩関節」という部分はありません。関節はないのですが、骨は筋肉で動かすものなので、関節がなくても筋肉があれば骨は動かすことはできます。
肩関節を動かしても、すぐ下にある肋骨は動きません。

 

肩の関節は、構造から見てもわかるとおり、下方向には動かせません。下方向に回すと肋骨にめり込んでしまいます。上方向には回すことができます。

 

画像:肩を上に回す。骨で表示。
肩を上に回す。骨で表示。
肩は首とつながっており、肩を上に上げると最大で45度程度上がります。これに加えて上腕の付け根の関節も上へ上げると、耳にくっつくくらいまで上がります。

 

画像:肩をめいいっぱい上に上げる。
肩をめいいっぱい上に上げる。
このとき、胸部の下のあたりまで(肋骨下部辺りまで)、肉が引っ張られて少し上に伸びます。乳房も肉の一部なので上に引っ張られますが、骨である肋骨は引っ張られません。

 

肩の一段階下層である上腕の関節は、あまり上方向へは回すことができません。ただしまったく動かないというわけではなく、20度くらいは曲がるようです。
上腕を上げるときは主に鎖骨と肩甲骨が上に回されます。

 

逆に上腕の付け根は下方向へ回すことができます。肩は下へ回らないので、腕を下ろす動作をするときは上腕の付け根だけ回ります。

 

肩関節は前後に動かすことができます。動かせる角度は60度くらいです。

 

画像:肩を前後に回す。骨で表示。
肩を前後に回す。骨で表示。
肩を前後に回す。骨で表示。
肩を前後へ回したとき、肩甲骨も少し動いています。骨なので変形したりはしませんが、肋骨の外郭を滑るように、少しだけ移動します。
肩を前へ回すと肩甲骨は少し前外側へ移動します。後ろへ回しても移動はしません。上に上げると肩甲骨も少し上へ上がります。

 

上腕の付け根も前後に回せます。上方向へはほぼ肩だけ、下方向へは上腕だけ回りましたが、前後では両方とも回せます。
しかし前後へ回すとき、いつも肩と上腕と両方動くわけではありません。どういうときに肩ごと回るか、上腕だけ回るときはどういうときかというと、簡単にいうと大きな動きで精密さが要求されないときは肩と上腕両方回り、小さな動きで精密な動きが要求されるときは上腕だけ回します。
大きな動きをするときは、パワーが増す分、精密さは低下します。人間は本能的に、パワーと精密さのどちらかを優先して、あるいはバランスを取りながら腕を動かしています。

 

そして肩関節は、回旋はできません。腕の付け根をひねろうとすると、上腕や下腕が回旋します。

 

 

表面に出てくる骨

肩の骨というと、前方の鎖骨と後方の肩甲骨のことを指すのですが、どちらも表面に形として現れてきます。

 

画像:鎖骨と肩甲骨。肉体図。
鎖骨と肩甲骨。肉体図。
鎖骨と肩甲骨。肉体図。
鎖骨は体の中央部ははっきり形が表面に出てきます。上腕の付け根辺りに来るとやや肉に埋もれてきます。鎖骨中央あたりも、表面には段差として現れてきます。

 

肩甲骨は、背中にはその2つのふくらみがはっきり見て取れます。ただし鎖骨ほどにはくっきりと形が出てきません。

 

 

筋肉

およそ、首と滑らかにつながっている、と考えていいでしょう。
肩を動かしてもあまり筋肉の凹凸は変わりません。
肩を上方あるいは前方へ動かしたときは、特に鎖骨がくっきりと現れてきます。

 

上腕の付け根付近になると、三角筋(肩のふくらみの筋肉)が目立つようになります。
これは上腕を回す筋肉なので、腕の項で説明します。

 

 

実際の形状

肩を曲げた場合に動く部分は、胸部の上部全体です。
ただし方向によって変わります。肩を前後に動かしたときは胸部の上部のみ動きます。しかし肩を上に上げたときは肋骨下部辺りまで引っ張られて動きます。
どちらでも肉が引っ張られて動く感じなので、下に行くほどあまり動かなくなります。

 

画像:肩を動かしたときの上半身の動き。
肩を動かしたときの上半身の動き。
肩を動かしたときの上半身の動き。
肉の動きには2種類あり、関節の回転運動によって「回る」部分と、これに「引っ張られて動く」部分です。

 

胸部のわきの下あたりまでの高さでは、回転による動きが出ます。自分の体でやってみるとわかりますが、肩を前後に動かしてみると、わき下くらいの高さまでは回転の影響を受けますが、それより下の部分はほとんど動かないでしょう。
前後の動きでは、回転の動きしか見られません。

 

これに対し、上方向に動かした場合、胸部の下あたりまで引っ張られて動きます。
正確にいえば、やはりわきの下あたりまでは回転の影響で上に上がりますが、これより下の部分も引っ張られて動きます。

 

ここで気をつけたいことは、鎖骨の付近は回転運動なので、このあたりの肉は鎖骨の根元(体の中心あたり)を中心に回転運動をしますが、これより下の部分は単に上方に引っ張られているだけです。

 

鎖骨付近は鎖骨の根元を中心に「回転」、それより下は上方向へ直線的に「移動」する動きになります。