一瞬の感動は無意味

セミナーでの感動の効果

ビジネスセミナーや予備校講師の講演などがあり、大変感動する話を聞かされることがあります。
学生時代にこんなに勉強したのだとか、仕事でこれほど苦労してやっと上り詰めたとか。

 

「勉強するのは、今しかないんだよ!」

 

などといわれ、その時は深く感動し、さあ自分も勉強するぞと家に帰ったところ、気が付いたら遊んでいる自分がいる。

 

そのような感動は1週間も続きません。
いや、1週間続けば奇跡レベルです。せいぜい2,3日。

 

それどころか、ほとんどの人の「感動効果」は数時間程度で忘れられます。

 

話の内容は覚えていて、そこですばらしく感動した、ということも覚えているのですが、そのときに講師からもらった「やる気」は、早ければセミナーが終わって1時間程度で消え失せてしまいます。

 

まったく意味がありません。

 

映画館に入り、感動する映画を見て、涙を流した。
それで外へ出て友達とその内容について話したりしますが、しかし数時間程度で元に戻ります。
感動した、ということは覚えていますが、感動そのものは数時間も続きません。

 

映画はそれでいいのです。別に日々の生活を変えるために見ているわけではないので。

 

でもセミナーというのは、感動するのが目的ではありません。
自分の生活態度を改めるのが目的です。
映画のように「あーよかった」で終わらせていたのでは、むしろ時間の無駄です。その時間に勉強したほうがまだよかったのに。

 

人気講師のお話を聞いても、自分の成績が上がらなければ意味がありません。

 

もし本当にそのセミナーの講師が優秀であるというなら、やる気を起こさせるだけでなく、具体的に何をすればよいのか、いますぐ家に帰ってから何をしたらいいのか、ということまで説明されているはずです。

 

それは別に感動させるようなものでなくてもいいのです。
本当に勉強の必要性を教え、行動させればよいのです。感動させなくても人を動かす方法はいくらでもあります。

 

もし私が講師だったら、勉強しないとどれだけ損をするか、勉強しないと社会で痛い目に合うかを実例を挙げて話し、そして生徒たちが家に帰ってから何をすればいいか、まで話します。
そして学校や予備校の先生と連携し「生徒一人一人がその課題を本当にやったかどうか」までチェックさせます。
もしできていなければ、できるためにどうすればいいかその場でアドバイスします。
それくらいしないとセミナーをした意味がありません。

 

本当にやる気を引き起こし、習慣を身に着けるまでのステップを知っている人はとても少ないです。
しかも習慣を変えるというのはとても難しいことです。それを1回のセミナーで多くの人にさせられるかというと・・・
そう考えると、セミナーの講師というのはとても難しいと思います。

 

 

感動しても習慣は変わらない

このように、習慣というものは感動しても何も変わりません。
中にはこのようなお話で習慣を変えられる人もいますが、ごく少数です。
もっと多くの人が習慣を変えられるようなやり方が必要です。

 

よく受験をテーマに扱った漫画やドラマがあります。
「実は東大に行くことは簡単なんだ」などというセリフがあったりしますが・・・

 

それはあくまで漫画の作り話です。真に受けないでください。
東大に入ることが簡単なはずがありません。
現実がドラマや漫画のように進むと思ってはいけません。

 

ああいうセリフを言わせると、ストーリーが面白くなるから言っているのです。

 

 

カリスマ講師のセミナーが有効になる場合

ただしこうしたカリスマ講師のセミナーでも、後で説明する「絶望・無力」という問題を抱えている人にとっては、その問題解決に効果的な場合があります。
「自分はできない」という思い込みがあって行動する気が起きない、という場合があります。
この問題がある場合、とにかくまずは「その気」になれなければ行動を起こせません。

 

カリスマ講師のセミナーでも何でもいいので、とにかく気分が盛り上がって「できる気」になれば、とりあえずこの問題は乗り切れる可能性が高くなります。
セミナーを聞いても何をやればいいのかわからずにつまづいてしまう人が多いのですが、とりあえず「瞬間的にでもやる気を出す」ためには、有効に働く場合があります。