絶望・無力への対処

できないという思い込みがあるとやる気が出ない

絶望、無力というのは、簡単にいうと「自分にできるはずがない」と思い込んでいる状況です。
そして人間、できないと思い込んでいるとパフォーマンスが低下します。

 

できないと思っているのにやっているというのは、まずそれ自体が苦痛なことです。やる気が出ません。
そういった思い込みや精神状態は、記憶力や解答の思い付きなどにも影響します。

 

最近の研究では、人によっては筋力や視力でさえ、何らかの思い込みや精神状態によって変化する例さえあります。
普通の人では思い込みによって視力が変化するなどはありえないでしょうが、思い込みが「やる気」に影響することは、普段の生活からも想像がつくでしょう。

 

少なくとも、できないと思い込んでいるよりは、できると思い込んでいたほうが勉強できる可能性が高いです。
この手の思い込みがある場合は、まずそれをなんとかしないと始まりません。

 

 

絶望

通常でいう絶望というのは広い意味がありますが、心理学的には「誰もやったことがない」という思い込みがある場合に、この状態になると考えられています。

 

「周りの人ができないのだから、当然自分にもできない」という性質のものです。

 

たとえば「自分の高校からは誰も○○大学に受かったことがない。自分もできないだろう」というような場合です。

 

この種類の思い込みは、周辺の状況によってつくられます。
特に自分の所属する集団、家庭とか学校とか職場とか、周囲の人たちが誰一人成功していないような状況では、このような心境に陥りがちです。

 

しかしこういうことは、あくまで自分の所属している環境でのことです。ほかの環境にいる人たちにとっては当てはまりません。
先の例ですと、確かに自分の所属する高校からは誰もその大学には行っていないのですが、ほかの高校からはたくさんの生徒がその大学へ進学しているかもしれません。
それならそちらの高校の勉強のしかたなどを自分に取り入れていけばいいのです。何も頭から行けないと決めつけることはありません。

 

誰かがそれをしたことがあるなら、自分にもできる可能性があります。

 

このような方法は心理学で「モデリング」と呼ばれます。他人のやり方をモデルにし、その手法を自分に取り入れるというものです。
これは単なる「なりきり」によってやる気が出るという効果も見込めるのですが、参考にした人の勉強の仕方などを分析することで、具体的な内容についても盗むことができます。

 

特に専門的な言葉を使わなくても、要するにできる人のやり方を参考にするというだけの話です。
この場合、勉強のできる人に勉強のやり方を聞いてみたり、どんな問題集をしているかとか、息抜きはどのようにしているかとか、たくさん情報を集めるほど自分の役に立つことでしょう。

 

 

無力

無力というのもできないという思い込みですが、これは心理学的には、自分が周囲よりも劣ると思い込んでいる場合になると考えられています。

 

「あの人たちにはできるのだが、自分にはできないのだ」という性質のものです。

 

仮に自分の所属している学校が優秀で、自分のクラスからたくさんいい大学に進学していたとしても、自分が周囲よりも成績が悪ければ、「周りの人はできても自分にはできないだろう」と思い込むかもしれません。

 

この場合、できる人のやり方を自分い取り入れても、「それはできるはずがない」という思い込みによってうまく取り入れられないかもしれません。
先ほどの「絶望」とは異なる方法が必要かもしれません。

 

 

「気分」を変える

ここでいう気分というのは、気分転換に遊んだりすることではありません。

 

自身の過去を思い出してほしいのですが、何かすごく楽しいことをしているときや、好きなことに夢中になっているとき、仲のいい友人たちと騒いでいるときなど、ものすごくテンションが上がって「今の自分には何でもできる!」という気分になることがあります。

 

こういうときには「できない」という思い込みがなくなるため、思い込みによるやる気のなさや、パフォーマンスの低下を防ぐことができます。

 

誰でも一度はこういうハイテンションな状態を経験したことがあるのではないでしょうか?
この状態をちょっと頭の中で想像してみるとか、あるいは「とにかくゲームをしたらそういう気分になる」とかいうのであれば、勉強する前にちょっとゲームをやるのも一つの手です。

 

準備運動のように、勉強する前に少しだけ気分がよくなるようなことをするといいでしょう。

 

ただ、気分が晴れればすべて思い込みの問題が治る、というわけではありません。

 

気分と思い込みは、似ているようで性質の異なるものです。
気分というのは単なるテンション、やる気とかそういうものですが、思い込みというのは自分の今までの人生経験で積み重ねられた判断も兼ねています。

 

ハイテンションになればこの問題がすべて解決されるわけではありません。