計画には立て方がある

小学校の夏休みは計画能力をつけるための最初の試練

小学校では夏休みに入ると、たいてい宿題を出されます。
この夏休みの宿題というのは1日で終わるようなものではなく、夏休み全体を通して勉強すれば、何とか終わるくらいに設定されていることが多いです。

 

普通の宿題というのは、その日やれば終わりです。先生が宿題を出し、家でやって次の日に提出します。
そして宿題をやらないと次の日に怒られるので、何とかやり遂げようとします。

 

この「次の日に怒られる」というのは、実は重要なのです。怒られる危機感で、みんなちゃんと勉強してきます。
しかもそれは翌日です。すぐ明日に怒られるので、家に帰ってすぐにやらざるを得ません。

 

ところが夏休みの宿題だと、提出は夏休みが始まってから1か月以上も後のことです。その日やらなくても、すぐに怒られたりはしません。
怒られないのでその日は手を抜いて何もせずに終わります。そして次の日もやはり同じで、怒られないのでやはり何もせずに終わります。そして次の日も・・・とずっと何もしない状態が続くことがあります。

 

これが夏休みの宿題がスムーズに終わらない理由です。その日やらなくても次の日に怒られないので、手を抜き続けるのです。
そのため通常の宿題をやるときには必要でなかった「計画を立てる」という能力が求められるのです。しかも1か月というのはなかなかに長い計画です。

 

そして残念なことに、普段の小学校ではこのような長期にわたる勉強計画の立て方をしっかり教えたりはしません。
少しだけ教えることもあります。ただそれもカレンダーのようなものを渡して、「この日までにどこまで終わらせる」とかを記入するだけです。
やらなくてもすぐにやってくるような罰則がないし、計画が途中で狂ってもその後の計画を修正したりはしません。

 

さらに夏休みの宿題は普段やらないような内容が多いです。自由研究、読書感想文、お絵かきなど、普段宿題としてはやったことのないものばかりです。
終わらせるのにどれくらい時間がかかるか予想がつきません。そんな状態で計画を立てろというほうが無理な話です。

 

こんな計画の立て方では、早々に計画を守れずに挫折、計画表はすぐに意味がなくなるでしょう。

 

 

計画を立てるのは大人でも難しい

一人で計画を立てる機会というのは、学生時代のみならず、大人になってもあまりありません。

 

仕事をすれば長期計画を立てる機会はたくさんありますが、仕事はたくさんの人たちと一緒に動いているので、計画が狂うと上司や取引先に大変に怒られます。
「計画が狂うとすぐに怒られる」という、いわば小学校の平日の宿題と同じ状況なので、みんな必死になってやります。
まったく一人だけで、しかもやらなくても特に怒られたりはしない、たとえば資格試験の勉強計画などは、大人でもやはり難しいのです。

 

人生の中でも極めて重要な能力であるにもかかわらず、しっかり専門的な教育をしないのはどうかと思いますが、教えられる人がいないのかもしれません。
何しろ立派な大人、社会人でも、計画を立てて狙い通り実行して成果を出すというのは、難しいことなのです。

 

それを小学生が一人で計画し、やり遂げるというのはまず不可能というものです。
したがって現実的には、小学生の夏休みの宿題は、親が管理する必要が出てくるというわけです。

 

ただ小学校の夏休みの宿題というのは、普通はそんなに無茶な量ではありません。
その気になれば1週間、よほど必死でやれば3〜4日程度で終わるようにできているので、無計画に夏休みを過ごしても、最後の数日で何とかなってしまいます。
感想文や自由研究など、その気になれば手を抜いてもとりあえず「やった」ことになる課題が多いので、無計画にやってもそれなりに何とかなるようにできています。

 

これにより、親が特に管理などしなくても、夏休み終わり直前で子供が必死になって宿題をやり、何とかぎりぎり終わるというようなことも多いです。

 

しかし受験や資格試験というのは、夏休みの宿題のようにはいきません。
こちらは本当にしっかり計画を立ててやらないと、どうにもなりません。直前に頑張ってもいい成果を出すのは不可能です。

 

 

計画を立てるときのコツ

さて小学校の宿題の例を出して説明しましたが、計画を予定通り終わらせるためのコツがいくつかすでに出てきています。

 

たとえば「その日やらないとすぐに怒られる」ことです。
受験や資格の勉強するときも、別に誰かに怒られる必要はないのですが、計画を達成できなかった時に「すぐに」評価されることが重要です。

 

また次の日に「計画は成功した」か「計画は失敗した」かはっきりしないといけません。1か月後に「この計画はだめだったから訂正しよう」では遅すぎるのです。

 

そして評価された後、すぐさま計画を変更しなければなりません。計画は成功する前提でその後もずっとたてられているので、失敗したらその後の変更が必要です。
こういうのは面倒ですが、この手間を惜しんで漫然とやっていても、計画通りにいかずにそのうち計画表も見なくなってしまうでしょう。

 

計画というのはまず、すぐに結果が出て、すぐに訂正できるようにしておくことが非常に重要です。