叱咤激励でうまくいく場合

叱られても勉強するかどうか

叱咤激励というのは、先生がよくやる「お叱り」や「あおり」のことです。
「今勉強しないと大変なことになるぞ」とか「将来就職できなくなるから勉強しろ」とか「危機感が足りない」とか、そういうものです。

 

これも多くの場合、カリスマ講師の「さあ勉強を始めよう!」と同じで、一瞬感動してすぐに忘れます。
一瞬の感動も一瞬の恐怖も、似たようなものです。

 

ただこれらの感情も、長期にわたって言い続けられるとそれなりに自分の価値観にしみ込んできます。
染み込んでくるとそれなりの効果があるのですが、これは長年時間をかけて刷り込まれるとようやく効果を出してくるようなもので、しかも適性があります。
人によってはいくら言われてもやる気が出ません。叱咤激励に反応しないタイプの人もいます。

 

学生の場合、特に中学や高校あたりで大学進学を考えていると、就職というのはかなり先のことなので、「将来大変なことに・・・」といわれてもピンときません。

 

あまり効果がないことが多いのですが、それでもこういったお叱りが効果を発揮する場合があります。

 

 

習慣を変えるための段階がすべて済んでいる場合

すでに習慣を変えるための段階がすべて終わっており、ほとんどあと一歩のところで行動に移せないような状態で、あと一歩誰かが「頑張れ!」というだけでも最後の一押しとなり、行動に踏み切れることがあります。
ただこの段階まですでに来ているのなら、別に誰かがわざわざ言わなくても、放っておいてもそのうち行動できるようになっていたでしょう。

 

 

叱咤激励した人が誰か

習慣を変えるための段階のうち、2段階目に「アドバイザーあるいは周囲の人々との関係が適切である」というのがあります。

 

このアドバイザーというのは治療者のことですが、「誰が変化を手助けしているか」というのは重要な要因です。
今まで説明してきた習慣を変えるための方法は、一応は自分だけで習慣を変えるための方法なので、心理療法でいう治療家の存在はありません。

 

この「アドバイザーあるいは周囲の人々との関係が適切である」という段階は通常、心理療法では最も重要な過程として位置づけられます。とにもかくにも、信頼関係なくして治療はできません。

 

誰かが何かをアドバイスする場合、そのアドバイスがどういう内容かよりも、「誰がそれを言ったか」のほうがずっと重要です。

 

たとえばある女の子が「どうやったら成績が上がるでしょうか?」という悩みを持っていたとします。
このとき、その子のすごく嫌いな先生が「一生懸命勉強しろ!」といっても、勉強する気が出ません。
嫌いな人のいうことを、進んで聞く気にはなりません。これは誰でも同じです。人間、信頼していない人、嫌いな人のいうことは聞きません。

 

ところがこの女の子が、仮にある男性アイドルグループに夢中になっているとしましょう。
このアイドルの人気者をこの場に連れてきて、「一所懸命勉強しようね!」といったら、この女の子は必死で勉強するようになるでしょう。

 

お叱りやあおりに限らず、どんなアドバイスをする場合にも、これは共通することです。
そのお叱りを言った人が、本人にとってかなり信頼していたり、好きな人だったりすると、思いのほか絶大な効果が出たりします。

 

そして単にこういった対処も、やはり複数の段階にわたって効果を発揮することがあります。
どんなに自分はできないと思っていても、自分の問題だと思っていなくても、誰かよほど信頼していて大好きな人に「勉強しよう」といわれると、突然必死で勉強し出していい成果を上げることがあります。
ただこのような、ドラマのように急にやる気が出て必死になるといのは、現実ではあまり機会が得られません。

 

 

伝統的な心理療法は治療者と相談者の信頼関係である

日本の伝統的な心理療法は、とにかく治療者と相談者の信頼関係を重視しています。

 

これは今まであまり触れてきませんでした。このサイトを読みながら勉強のしかたを考えるのは、特に誰かにアドバイスを受けているという状況ではないからです。

 

また信頼できる人に悩みを打ち明けることは、問題を分析して認識することにもつながります。
心理的にもリラックスでき、緊張感が解ければ、ある程度は無力感などの「やる気」の問題も解消されます。

 

そして心理療法は医療現場での問題解決を主眼に置いているので、ただ信頼できる人に悩みを打ち明けているだけでも、かなり気が楽になり、病状も好転するものです。

 

しかし勉強するという、行動を変化させることが目的の場合、これだけでは足りないこともあります。
ただ聞いてもらうだけでなく、自分で目標を作り、具体的に何か行動を起こさなければなりません。

 

誰かに悩みを聞いてもらったり、先の例のように好きなアイドルに励ましてもらうだけで急に成績が上がるような人もいますが、これはすでに習慣が変わるための準備がほとんどできている状態で、あと一押しというところで励まされたために行動できたという場合が多いようです。

 

実際のところは、好きなアイドルに何を言われようとも、やはり「一瞬感動しただけで終わり」の場合がほとんどのようです。

 

また何の心の準備もできていない段階で、好きな人に一言言われただけでそんなにも変われるというのは、ある意味危険なことです。
よほどその人に深く心的に依存しているということでもあるからです。もしその好きな人とというのが、悪意ある人だったらどうでしょうか?いいように利用されるかもしれません。

 

人間は急に変化が起きないよう、心理的な防御壁のようなものがあります。急に勉強ができるとうれしいかもしれませんが、危険なことでもあるのです。
皆さんが「なかなか習慣なんて身につかない」と思うかもしれませんが、それがふつうであり、心的に健康な証拠です。
それは少しずつ変化させていきましょう。またそれは自分の望む方向でなければなりません。
自分が望まない方向に無理やり変化させられるとしたら、それはまるで「洗脳」のようです。危険なことです。

 

お知らせ

2017/7/29(土)「関西創作系オフ会」を開催いたします。ご参加お待ちしています。

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11章のまとめ
習慣を変えるための技法がたくさんありますが、やりやすいものから片っ端から試してみてください。当たりはずれがありますが、うまくいったら継続することで効果を期待できます。
習慣を変化させるための技法を実施する
習慣を変えるためのあなたにしかない資源があります。それを最大限生かすことが早く良好な結果を出します。
どの方法が有効なのか
習慣を変えるための技法はたくさんあります。やりやすいものからどんどん試していき、効果があれば継続しましょう。
複合・追加して使用する
習慣を変えるための技法は何も一つずつ律儀に試す必要はありません。いくつも同時にやってみてもいいですし、そのほうが効率がいいでしょう。
それぞれの方法は複数の段階にまたがっている
習慣を変えるための技法はそれぞれ、習慣を変えるための段階においては複数の段階に影響します。だから今どの段階でつまずいているかわからなくても、気楽に片っ端から試していけばいいのです。

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